KOZON / ISSUE13

Date : 2009.09
Common Magazine issue13

HUMANREPORT × KOZON

KOZON PROFILE(My Space)

ISSUE13 DETAILS


■ 今日はお願いします。

KOZON(以下:K) お願いします。

■ 始めに絵を描き始めたキッカケを教えてください?

グラフィティではなくて…普通に絵を描き始めたのはガキの頃。漫画を写したりとか、
ひたすら描いてたんだけど、それがキッカケかな。

■ 授業中に描いたり?

そう。それで高校までは思いっきり剣道やってて。

■ グラフィティは何で知ったんですか?

Fine!俺11コ離れてる兄貴がいて。その兄貴の部屋にFineがいっぱいあって俺が中学位にオシャレとかに
惹かれつつあった時に、兄貴の部屋にあるFineをめくったらグラフィティが載ってて。
「壁に描くってなんかファンキーでカッコイイ!」みたいな(笑)。
それからスケッチブックにずっと描き続けてて、高校卒業して兄貴がReggae Barやっててそのお店で働いて。
「なんもすることね〜や。」ってなってて。んで、ずっと絵は描いてるから絵をやろう!って思って
仙台に来たんだよね。常に絵は描いてたね。キッカケって言われるとやっぱりグラフィティを観てから
「俺も本気で描いてみて〜!」みたいな。「これだったらやってみたい!」みたいな。
それまでは絵っていうと学校の美術っていうイメージしかなかったから。
かしこまった感じがして。グラフィティを観て、「こういうのもあるんだ。」って思ったね。

■ それは何歳くらいですか?

中学1年の時だね。中学1年生の頃に兄貴がやってるの見て俺も描いて、兄貴に見つかって
「お前なにやってんだよ。」ってなって「おい、なに真似してんだよ!」みたいな(笑)。
兄貴が店を出すってなったときに「店の壁に描いたらいいじゃん?」ってなって描いたんだ。
ペンキとマーカーかなんかで。スゲー頑張って描いたね(笑)。
それでデカイの描いて「デカイのは気持ちいい!」っていう。

■ それが初めて壁に描いたんですか?

そうだね。それが最初だね。高校の時は適当にスケッチブックに描いたりして。

■ 仙台にはグラフィティ目的で来たんですね。

そうそう。とりあえずグラフィティやりたいけど岩手じゃ情報がまったくなかったから、
情報が俺は欲しくて、「グラフィティってみんなどうやってるの?」みたいな。

■ 過去に目のアイコンと”Fuckin TV…”というメッセージを使ってのはそれぞれ、
どんな意味があるんですか?

そうだなぁ〜。

■ 目はいつ位からですか?

まったく覚えてないけど、目を描いたのは人でも動物でも”目”っていうのは一番分かりやすいっていうか…

■ 特にメッセージがあったわけではないんですか?

メッセージはあるんだけど言うと恥ずかしい(笑)。一同爆笑
まぁ簡単にいうと”開いてる”感じだよ。
あの目は左目を描いてるんだけど…”Fuckin TV…”は多分みんな分かるでしょ(笑)?
おそらく多分みんな思ってることだと思うもん。

■ 目のアイコンはタグっていう位置づけなんですか?

ん〜。タグでもないけど、スゲー描きやすいし早く描けるから。
特にスゲー思い入れがあって「俺は目だぜ!」みたいな感じではない。
まぁ分かりやすいし観た人も「あっ目じゃん。」みたいになるでしょ?

■ 今現在の仙台のグラフィティのシーンってKOZONさんから見てどんな感じですか?盛り上がりとか。

ん〜。それってとっても難しいんだけど…。昔はその○○○○とか俺とかさ
「グラフィティのシーンを上げてやろう!」仙台のグラフィティ・シーンをわんさか作って、
東京・大阪とかの他の都市に負けないくらい「仙台ヤベーぞ!」って言わせたかったっていうのもあって
実際やってたんだけど。若い人達にもグラフィティをオススメしてね(笑)。
「グラフィティ面白いよ〜。」みたいなコトをやっていたけど。実際「はい。増えました。」「減りました。」
みたいなのが繰り返してて、若い子が「俺やります!」って言ってるけど、
俺らの時とは取っ付き方が違うっていうか。

■ 入りが違うんですかね?

あまりにも街中に溢れてやれる分、執着心がないっつーか。「これどーなんだろ?」みたいになって、
「やり方間違ってんじゃねーの?」っていうのが最近スゲー思ってて。
どうしてもグラフィティって犯罪が絡んでくるもんだから。高校生の子に「やった方がいいよ!」って勧めて
やり始めて捕まったときに「俺どうしたらいいですか?」みたいになってくるしね。
「ん〜しょうがないね…残念だけど…。」ってなるしさ。そういうのもあって、
あんまりこう「グラフィティをやれって!」っていうよりも実際やるやつはやるでしょ?
コッチがアクション起こしてどうのこうの言うんじゃなくて。
グラフィティっていうのはそれで良いんじゃねーかな?って。
変に上に持って行こうとするとおかしな事になるっつーか。
若い子達も馬鹿じゃねーんだから「自分が好きな事ならやるだろう。」っていう考えに今はスゲー思ってて。
俺の中でズレを感じてて、あんまり仙台のシーンをどうのこうのっていうよりも…みたいな。
ほっといた方が純粋に出てくるんじゃねーかな?

■ 勝手に出てくるんじゃないかと。

そう。逆に良く考えるとさ、自分が19歳とかの時に例えばグラフィティやってる人がいて、
その人に「グラフィティやれよ!」って言われてたら俺やってないかもしれない。ほっといてていいでしょ。

■ 知らない所でポンって出てきて発生してきて、潰れるのもいるしそのまま来る人もいるし。
そして自然とリンクしていくみたいな。

うん。そういう風にしたほうがいいかな?ってね。おっさんライター達はそういう風になってきてて、
ほっといた結果現在……若い子達はあんまりいないよね(笑)。一同爆笑

■ 水戸でやってた『X-COLOR』って全国的にどうだったんですかね?反応っていうか。

俺はあれに出してないけど、みんなが知ってるライターがいっぱいいたしターニングポイントじゃないけど、
あのイベントをおかしいって言う人はいないんじゃない。

■ 海外で活動することは考えていますか?

うん。海外の壁に描くのは絶対楽しいでしょ。明日にでも行きたい。

■ 一度静岡に住んでたじゃないですか。その時ももちろん壁に描いてたんですよね。

静岡にいた時は情報は一切無かったから。なんにもないと「実際俺ってどうなんだろ?」って思うじゃん。
やってる仲間もいなくて絵を「いいね!」って言ってくれる人もいない状況で、
いざ解き放って絵を描いてみたらどうなんだろう。って、いうのがまずあって。
そういうのがあってきっと一つぶっ壊れたんだよね。
変にアートとかさアーティストだったり一回全部とっぱらわれたっていうか。

■ 色々枠を取っちゃってみたいな感じですね。

壁に描くっていうのよりも写真を取ったりとか、景色を見てそれを水彩画にしたりとか
そういう遊びの方が多かったもんね。

■ 仙台にいるときはグラフィティ中心だったんですか?

グラフィティ中心だったけど、俺が描いたやつってグラフィティって言われないんだよ。
壁に描いたヤツでもさ(笑)。こういうやつとか。

■ 凄いすね!コレ全部スプレーで描いたんですよね?市販の?

そう。市販のやつで。

■ 一般的なグラフィティって文字じゃないですか。そこにはいかなかったんですか?

いや、これも文字だよ。KOZONって描いてあるんだよね。コレが『K』でコレは『O』で…………

■ スゲー!!そうなってるんですね!昔からこういうスタイルだったんですか?

全然全然。昔はホントに『グラフィティ』って感じのNYのような、あーいうのをひたすら描いてた。

■ KOZONさんのこのスタイルはいつくらいからですか?

25歳とか?なんか最初はレターを描いたり、キャラクターを描いたり、
『HIPHOP』したグラフィティから今の感じのスタイルになった一番の理由は、
グラフィティっていうのをそもそも始めた時に、なににも捕われてなくてスゲー勝手気ままに
好きだから絵を描いてるっていうのがあって、それがカッコ良かったんだよね。
「どんだけ心躍るの!」っていうのでやり始めたのに、
どんどんグラフィティやってたら「俺はグラフィティライターだ!!」っていうのが変にグラフィティの
カテゴリーの中に入れ始めちゃって。「あれ?俺ってそうだっけ?」みたいな。

■ そもそもの始まりが『自由』な感じが良かったのに、
それが無くなってきているみたいな?

そうそう。最初はレターみたいなNYみたいなのが描きたくて真似してきて
段々描けるようになってきて「ん〜どれ見ても一緒だや〜!」って思い始める訳じゃん?
自分でも違和感を感じてきたのがある日突然「あっ!」って気付いたんだよ。
「そもそも俺がやってるのってそういうのじゃねーや!」って!
「別にグラフィティって言われなくてもいいや!」って。
それこそ俺の中でグラフィティってやり始めた結果「これレター?」って言われるようになったからね。
俺の中ではレターなのに。

■ オリジナリティを出しやすいってコトですね。

子供が描いた絵って全然情報が足りてないでしょ?そういうのを見はじめると「なるほどな〜。」っと、
「善し悪しだけじゃねーな。」みたいに思い始めて。逆にスゲー色々モノを描いてるのはまさにそれだね。

■ そのとき壁に向かって思いついたことを描いてるんですか?

そう。前に「なにか大作ってないですか?」って聞いたでしょ。だから無いもん。
大作って!だから下準備してあ〜でもない、こ〜でもないって言って作り上げていくのがあんまりない。
前に描きにいったときも「ココになにかレター描いてよ。」って若い子に言って
「あとは俺が周り描くから。」みたいな。
そうした描き方したときに雑誌とかに載ったときに他のとは違う感じがでるから。

■ 頭の中で組み立てちゃうんですね?それとも描いてるうちにそうなっちゃうんですか?

下書きしなくなった一番の理由は、下書きをして壁にでっかく写すワケじゃん?
写すって行為がメンドクセーっていう。もう描くんじゃなくて写すっていう作業になるでしょ。
描くのは自分を出せるけど写すのはそれをより正確に書くっていう作業になるから、
もうラインが生きてこないから。写すってなると体に力が入っちゃうし、より正確になっちゃうから。
写すってより描くってなるとズバっと行けるっていうか。
そのズバっていうのが俺には必要なんだよね。だから俺はもう下書きはしないんだよね。
逆にいうと下書きなしで描けるまでの俺のマスターピースは最悪だったよね(笑)。

■ 下書きがちゃんとしてればしてる程、写す時に必死になったり。
「この角が気にいらない。」とか。

そうだね。それがメンド臭くなってくるね。その場で描くともう出来上がっちゃうじゃん。
下書きしたらもうでかく写すのはメンドーになるね。

■ 壁に描く時に全エネルギーを注ぎ込みたいんですね。

そうだね。写すって行為はあんまり好きじゃない。「似顔絵を描いてください。」って言われて
描くのとかもあんまり好きじゃないね。出来ることなら。

■ 絵だけではなく、版画や造形に行き着いたのはどうしてですか?

まず、流木を拾ってきて「何かに見える」って思ってさっき言ったみたいに、
ちょっとしたジオラマみたいなことをしてたんだけど、
これにさらにもっと人の手を加えて具現化したら面白いんじゃない?みたいなところから始まったんだよね。
具現化するにはどうしたら良いか考えて、『彫る』とシルエットが変わっちゃうし、
「じゃー付け足そう」ってなって、100円ショップに行ったら粘土が置いてあって
「ベージュの粘土だったらそれっぽく見えるな。」ってなって、
ロダンとか見てた時期があったから、
「ロダンのようなリアルなモノをここに乗っけたら気持ち悪いかな。」みたいな(笑)。
「みんなこれを見たら嫌な感じになるな。」みたいな感じになるけど、
「インパクトあるかな。」みたいな。それでやり始めたんだよ。もう完全に思いつきだね。
絵を描く時っていつも頭にあって3次元で考えてるから、「やれるでしょ!」っていう。
むしろ、やりながら出来てくるから。版画は『棟方志功』って人を知って、
「とんでもない!」「こんな人がいたんだ!」って思って。
版画ってモノにはスゲー前から興味があったんだけど、手法が分からなかったし、
取っ付きにくかったんだよね。
彫刻刀とかも良いヤツ持ってれば綺麗に彫れて気持ちいいかもしれないけど、
その辺の安いの買ってやっても全然彫れないだろうしね。木の板を買ってやってみたんだけど、
スゲーごりごりするし、彫ってて気持ち良くないしってなって
「これはゴムだ!」ってゴムをやってみたら「スルスル彫れて気持ちいい!!」ってなったんだよね!

■ 人物とか描く時に頭に『針』みたいなものが刺さってるじゃないですか?
あれってなんなんですか?

あれは『鉄の棒』が刺さってるんだけど(笑)。なんかパっと見は大変なことになってるんだけど、
「当の本人は気付いてない。」。俺の見渡す限りの日本の人でも「大変なことになってるぞ!」ってなってても
「当の本人は気付いてない。」っていう。それっていうのは、”Fuckin TV…”に通じるところがあって、
「持っていかれてるぞ!」っていう。「テメーの考えは!」みたいな。
自分の感情だと思ってるかもしれないけど、
それは『長年の教育と長年の教えによって…』に成り立っていて……みたいな(笑)。
「ホントは自分の考えじゃないかもしれないじゃん。」とかさ。それって良く考えると大変なことじゃん?
完全に頭の中もってかれてるわけだから。自分の感情だと思って生きてきたのがある日突然、
「ごめん。俺の洗脳だったわ。」とか言われたら、みんなビックリするでしょ?
「じゃーあの時俺が感じたのも?」みたいな(笑)。一同爆笑

■ 次に尊敬しているアーティストはいますか?

いっぱいいるね!カッコいいと思うアーティストは。

■ 調べていってギャップにやられた!みたいな人は?

『カラヴァッジオ』はそういうのあるかな。本屋で絵を見て「こいつとんでもねー!」って思って、
家に帰って速攻広げて「こいつ魔物だ!」って思ったもんね!『カラヴァッジオ』って絵が生きてるんだよね。

■ どれくらいの年代の人なんですか?

ルネッサンスより少し進んだ時代の人なんだよね。肌が生きてるっていうか、
この人の画集とか見てるとちょっと落ち着き無くなってくるくらいなんだよね。この人は凄い好きだね。

■ 今後個展とかその他でも良いんですけど、外に発信していくことは考えてますか?

外に発信して行くことは常に考えてるんだけどなんかね。俺の努力が足りないんだよね。
やりたいんだけどそれに向かって努力しないから結局実現しないんだよね。
興味あることは全然苦にならなくてやれるんだけど。発信とか、物を売るとか、
そういうのには俺の中で「頑張らないと!」っていうのが出てくるんだよね。
だから頑張れない(笑)。やっていく気はあるんだけどね。
なんかカッコ良いこと言わないとマズいよね!個展をやります!一同爆笑

そうだね。あと本とかも出したいね。

■ 作品集とかですか?

うん。絵だけで出すなら本がいいかな?

■ どういう感じで絵を描いていくのが理想ですか?

毎日絵を描いて四六時中絵のことを考えていたい訳じゃないからね。
スゲー楽ちんなバイトで社員でも良いんだけど金をGET出来て、絵を描いてられるのが一番いいかな(笑)。
一同爆笑

俺がスゲー面白い人間だったら絵もヤバい絵が描けるんじゃないかな!
俺の絵がどんどんヤバくなっていくなら、
俺もヤバくなっていかないとっていうのが俺の中でそうとうあるからね。
俺が面白いことをしないと絵も面白くなっていかないよね。インタビュー大丈夫?コレまとめるの大変だよね!

■ 大丈夫ですよ!

「結局この人なにがしたいの?」みたいになってない?
一同爆笑


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