TOME / ISSUE10

Date : 2008.12
Common Magazine issue10

OTHER REPORT × TOME

TOME PROFILE

ISSUE10 DETAILS


■ 「TOME」とは何ですか

SHIBATA(以下S)ん〜、何か色んなイメージが重なって出来たモノなんで具体的に話すとなると難しいですよね。簡単に言えば地元と音楽が盛り上がればいいなぁ〜っていう願望が具体化したという感じですかね。

■ 長い間感じてきたものがカタチになったんですよね。

S そうですね。勉強不足は否めませんが、昔からコメに対する漠然としたいろんなイメージは持ってました。
で、カフェを始めることになって、昔から感じてきたコメや農産物に対する諸々のイメージや感じてきたことを自分なりに何かしらの形で表現なり発信できないかと考えるようになりました。それが「TOME」でありカフェの通常営業で扱う食材やメニューですね。その「TOME」をカタチにしてくれたのがPILEWORKSさんです。夢の請負人。(笑)

■ お米を、何とかせにゃあいかん!みたいな想いっていうのは結構以前から頭の中にあったんですか?

S そうですね。僕自身、農地は所有してますが生産者ではないのでどこまで説得力あるか分かんないですけど。ただ今の農業の中で『お米を何とかする』なんて言ってもかなり胡散臭いと思うんです。現実はそんなに簡単じゃないし、はっきり言って既存のシステムは完全に破綻してます。だって、農水省の調査で田んぼ作ってる農家の労働を時給換算にしたデータがあって、いくらだと思います?時給179円!
ありえないですよね!この数字は平均なので規模の小さい農家は田んぼからは一つも利益を上げられないってことですよ。このデータの算出方法がどうだったか、もう少し調べなきゃならないと思うんですが、日本の稲作や米の現状を示す一つの象徴的なデータといえると思います。
ですのでこれを何とかするっていっても…でも地元の米は半端なく旨いし、何かしないとなってことで、まずは自分のできる範囲と繋がりの中で何かしら形にしようと。とにかくまず行動ということで。ただ行動といっても一人で何とかなるものでもないと思ってました。

そんなこと考えてるうちにVERB STORE経由でPILEさんと繋がったり、あとトシっていう変な若者がこの企画に乗ってきてくれたり、タイミングでしたね。僕も含めPILEさん、トシ、あとWEBの全てをお願いしてるナリさんの4人で始まった感じですね。そのうちの一人がいなければ成立しなかった企画です。
なので本当にこの4人の企画ですよ、これは。本当に感謝してるし、一緒にやってて楽しくてしょうがないですね。で、このトシって若者が20才なんですけど、東京農大中退して田舎帰ってきて農業で何とか面白いことしたいっていう願望持ってるんですね。現在は生産者としていろんな農業の現実と壁を体感しまくってるようです。僕と年が一回り以上離れてるんですが、農業や農産物の話とかかなり考えてることが同じで、一緒にやってて楽しいし、むしろこっちが勉強させてもらってる感じです。

この4人、20才〜40才と年齢の差がけっこうあるんですが同じ感覚の中でアイディア出し合えるのは面白いですよ。つーか、なんか不思議ですよね。あんまり年齢って関係ないんですね。
大事なのはベクトルの方向と同じものをおもしろいと思う感性なんでしょうね。で、今回の企画が「お米の未来を救う」とかいうものじゃないし、お米にまつわる問題点を改善するものでもない。そんなことできるわけないし、ただ何か自分たちでやれる範囲で、いろいろキツイ現状だけど楽しいことをやりたかったんですね。だからという訳だけでもないんだけど、自分が持ってるイメージの中で、何とかこの土地のクオリティの高い米を今までの既存の売り出し方とは違うカタチで、且つ無理しない自分の感性の中でやろうとした時に、そのイメージをPILEさんに伝えたら凄く素晴らしいレスポンスを頂いて実現出来たんですね。

■ TOMEという名前にはどんな想いを抱いていますか?

S ほぼPILEさんがネーミングしてくれたわけで、お米と同時にこの地名なり、どういう所っていう事を少しでも解ってもらうきっかけとして
「TOME」っていう商品名はすばらしい。そんな感じですよね?

■ はい、そうですね。

S 例えば関東や西日本、何処でもいいのですが、遠くにこの「TOME」や登米産のモノが少しでも流通していけば自ずと「登米」という名が広がって行くじゃないですか。ちょっとづつでも「登米」というキーワードが日本のどこかで引っ掛かリ易くしていきたいんですよね。広い範囲に若干でも「登米」が染み込んでれば、登米産でも登米出身でも、何処かで「登米」に出会った時にそこでのコミュニケーションとか消費とか色んな事が広がっていくのではないかなと。ありえない話かもしれませんが、日本中の人に「登米」って いうフックをぶら下げていきたんですよね。「登米」フックを潜在的に持ってもらえればいつか何処かで「登米」に出くわしてカツンと引っ掛かるんですよね。理想ですけどね。(笑)

でも、登米は宮城県内でも知られてないからなぁ…(笑)石ノ森章太郎、大友克洋という2大巨匠の故郷なんですけどね…。余談になっちゃうんですが、一部の東京アンダーグラウンドシーンで「登米」は少しずつ広がってますよ。つーかうちに来てくださったミュージシャン界隈ですがね。
オカッチがVERB STOREのリニューアル時に犬式やCRO-MAGNONの メンバーに「VERB STORE TOME CITY」っていうロゴのTシャツ配ったんですね。何気に朝霧JAMとかnbsaとかおっきなイベントでミュージシャンが着てくれてて、ほんとすんげぇー嬉かったっすね。よくショップやメーカーさんがミュージシャンに服を支給したりしますよね。オカッチの場合、おもいっきり「TOME CITY」ですからね。このダサさほんと最高にカッコいい ですよね。(笑)

■ 中に入っているお米について教えてください。

S 品種は「ひとめぼれ」です。カフェでも一年中、使用している米です。栽培方法が特別栽培米(環境保全米)っていういわゆる低農薬・無農薬の人体や環境に配慮した米と言われてます。
登米市内の「ひとめぼれ」は今や市内の作付け面積のほとんどがその特別栽培米なんですよね。その栽培方法を地域全体で取り組んでるっていうのはもの凄い事なんですね。使用される農薬・化学肥料が通常の半分以下であることがまず基準になってるんで。市内全体がそういう取り組みを続けてることが評価されて、一昨年に農林水産大臣から農林水産大臣大賞という賞を取ってるんです。ですが市場価格にはさほど反映されてませんけど…さらに今回発売したお米は科学的な食味検査で物凄い高い数値出してるので、それも売りですかね。登米市内は米どころと言われてますが、うちの米はその中でも作ってる所が良い場所とされてるんですよね。いい場所とは気候・風土はもちろん、あとは土壌と水ですね。
それらの条件が抜群にいい農地で栽培してます。一般的に流通している「登米産ひとめぼれ」となると不特定多数の農地と生産者のブレンドされた米ということになります。

もう一つの売りは無洗米っていうことですかね。手に取ってみると解るんですけど、無洗米は普通の白米と比べてかなり透き通ってるんですよ、ほとんどが。ほんときれいです。でもこの白さに抵抗を感じる人がいるのも現実。ちょっと逸脱するかもしれませんが、たとえば戦中戦後の食糧難を経験してきた方は
白いご飯の有り難味、みたいな精神をお持ちですが、40代以下になると健康志向とかで玄米、発芽玄米、古代米、雑穀米、など、色つきのお米が何となくヘルシーな扱いでかなり消費を伸ばしてます。
しかも無農薬とか。ま、多様化してるってことでしょうけど。さらに逸脱しますが、最近は「体にいい…」ばかりが先行して食品や健康に関する情報が一方向的にメディアからインプットされてて、どうも食すことの本来的な喜びとか「旨い!」っていう本能的な反応が退化してるような気がしてなりません。

極端な話、舌と鼻をつまんで情報を食べてる、あるいは食べさせられてることに気付いてないんじゃないか、と思うことが本当に多すぎます。これは今回の企画に賛同してくれてるトシと共通の見解です。
二人でこの流れに抗いたいなぁっていつも言ってます。「体にいい」「健康にいい」って何か痛くないすかね?こんなこと考えるのオレだけかな…?もはや健康病ですよね。もちろん自分自身そうした傾向なり消費なりがないわけではないと思います。また玄米食とか雑穀米とか、栄養価の面で優れた食品であることは間違いありません。僕も食べたいと思うことがあるし、友達のカフェで頂く発芽玄米はほんとに美味い。ただ有機だ安全だ体にいいって感じで偏り過ぎてる感じはします。繰り返しますが無農薬も玄米も食の安全も当たり前ですがすべて素晴らしいことです。今後もこういった健康志向は強まっていくんでしょうけど。

ただ結局は農産物がブームとか偏った消費に巻き込まれると、そのシワ寄せは必ず生産者に行きます。安定的な食材の供給は生産者あってのはずなのに。そして農産物が自然と天候があっての産物であることも当たり前のことなのに一般的にイメージが弱い感じがします。どうも農産物が工場で作る製品みたいにしか捉えられていない感じがして。生産者と消費者の距離がありすぎるんでしょうかね。
なのでかなりベタな企画ですが、来春は店の傍の田んぼでお客さんと田植えします!ご参加お待ちしてます!
ゲストミュージシャンあり!?

■ 他で採れたお米でも無洗米って出来るんですか?

S 出来ます。単なる精米方法ですから。最近の精米技術の進化で白米からさらに米粒の凹凸に隠れてる糠を物理的な方法でほとんど取ってしまうんです。よくケミカル処理されてると思ってる方がいますが、まったくそういったものではないのです。米を研ぐっていう作業はこの凹凸に隠された糠を除去する行為なんですね。白米を研ぐと白い研ぎ汁が出るじゃないですか。それがほとんど出ない。研ぐことによって米の表面を傷つけ旨み成分を逃がすとも言われてます。なのでより美味しく食べるための精米方法なのです。あと、研ぎ汁を出さないため一日数リットルの節水にもなるとか。

■ お米本来の味を引き出すベストな食べ方なんですね。

S ベストはベストなんですけど、さっきも言ったように玄米志向の強い方々もいるし、白米じゃなきゃダメだって言う方もいるし。食も多様化してますからね。

■ 最近玄米で食べる方も凄い増えてますよね。

S 店に来てくれたミュージシャンにお土産で米を渡す時、玄米でお願いしますっていう人も多いですからね。犬式の洋平君は毎日玄米食べてるらしいんですけど、嬉しいことに先日、いつものように米食べてたら何でか「今日の米スゲーうめーな!」って思ったら、「あっそうだ、貰った登米の米だ!」ってことがあったみたいで。それ言われた時、すんげぇー嬉しかったですよ、マジで。玄米でも白米でも旨い米は旨いんです!

■ この様なパッケージを考案した理由は何ですか?

S 音楽と絡めたといという事はありますが、デザインが外側に施されていて機能的であれば、捨てたり何処かに閉まったり、茶の間やリビングに置いても大丈夫な様な、CDとかレコードを入れなくても使ってもらえる様なことをイメージしてます。更に来客があって「このTOMEって何?」ってなればまた良いなって。どこまでも売名(笑)。でも必ず箱なんか要らないって言われることもあると思います。だって米ほしい人には関係ないことですから。企画自体の無謀さもバカっぽさも自覚してるし、無謀だから楽しいって事があるわけで。値段もいいですしね(笑)

■ 箱を捨てなきゃゴミにもならないですもんね。

S そうですね。環境にも配慮した。似非エコ(笑)

■ CDやレコードを入れれるサイズにしたのにはどんな想があってですか?

S ん〜かなりの数のレコード屋さんが閉店してますよね。一リスナーとして、良い音楽をずーと聴きたいのであれば消費が絶対必要ですよね。レコード屋さんってまた特別じゃないですか。コアな部分で音楽シーンを支えたり牽引してるのってやっぱりDJですよね。DJ人口は増えてる筈なのにレコードの消費は減ってるんですよね?消費してかないと最終的にリスナー自身、オーディエンス自身に返ってくることですよね。だからといって自分でレコードを売る訳にもいかないんで、自分がやれる範囲の事。
もちろんパッケージを作ったからレーコードが売れるっていう分けでは無いんですけど。いいレコ屋さんはやっぱ残ってほしいですもんね。

■ そういう想いを込めてっていう事ですよね。

S リスナーとして好きなアーティストっていつまでも聴いていたいじゃないですか。次の作品、心待ちにするじゃないすか。それを可能にする唯一の方法は、結局ライブ行ったり音源買ったりする事ですよね、きっと。アーティストさんに「がんばってください!」とか「応援してる!」なんて言っちゃダメですよね。その前にしかるべき消費しないと。

■ 柴田さんの活動してる登米市っていう町はどんな所ですか?

S え〜、閉鎖的で、何かしようとする人の足を引っ張り、知的水準が低く…。っていう風に市内をよく知る外部の方に評価された事があって。その人はウチらより客観的な視点を持ってて、政治から経済の事までにいろんな市内のこと知ってるんで残念ながら認めざるを得ない感じでした。反論できないのがまた情けなくて…。

■ そればズバリその通りなんですか?

S 否定し切れない部分もありますし、身に憶えもあります。だからこそなんですけどね。そいうネガティヴな側面も認めつつ、そうじゃ全国何処行ってもあるような田舎の町といえるでしょうね。商店街は寂れて、病院とかは統廃合されて、産婦人科、小児科は少なく、子供をもつ親は不安が全くないわけではない。働く環境もどんどんなくなり、このままいけば高齢者しか居なくなる所ですね、どこの地方も同じでしょうけどね。そんな中でも自然は最高だし、山もあれば奇麗な川もある、食べ物も旨い。
特に米なんかはホントに旨いし。そういうところですよね。地元に対する誇りとか郷土愛とかではなくて、自分が住んでる所や子供も親もいる場所が今よりもっと楽しく生活できる場所にしたいだけなんです。そのためにも、もっともっと地元が外に外に意識を向けて、カフェを通じて外部との多様なコミュニケーションが発生して、いろんな繋がりとネットワークの中で地元を盛り上げてく。で外に表明していった方がいいと思った事は恥をかきながらも発信していく。そうしていくことでしか楽しくならない。景気がどうのとか政治がどうのとか言ってる場合じゃないですよ。確かにどこを見ても現状は厳しさを増すばかりですがね。

■そんな中でこの地にCAFE GATIを作ったキッカケは?

S ん〜…、コーヒーが好きで、というよりまずもって完全なカフェイン中毒です。で、写真が好きで、音楽が好きで。そんな好きなものを凝縮できるのはやっぱカフェじゃないですかね。お茶飲んでタバコ吸って甘いものや旨いもの食べてダラダラしながらいい音楽が流れてて壁にはグッとくる写真が飾ってある、そんな場所があればいいなと。それが自分の傍にあればなおさら。で始めたんですが、気付いたら自分がお客さんにはなれないことを自覚。ほんとバカですよね。そんなの当たり前だし…で、音楽に関してはやっぱ好きなDJやミュージシャンに来てほしいなぁって思ってましたし、クラブとかライブハウスとかとも違う形で音で遊ぶことをイメージしてました。その方がいろんな人が音楽に触れる機会が増えると思いましたし、現にうちの子供や友達の子供はいろんな音聴いてますし、時には75才の伯母がオーサカ=モノレールの大ファンになってしまったり。オカッチの息子なんか将来「仮面ライダーになりたい!」じゃなくマジで「クロマニヨンになりたい!」って言ってるぐらいですから。そんな変態育てられる場所で
ありたいと思いますし、かなりイレギュラーな箱といえます。それが一番だと思ってます。

■選択枠の中でCAFE以外で無かったんですか?

S CAFEでしょうね、その全てを満足させられる方法はCAFEでしょうね。とにかく無類のカフェイン中毒ですし。

■それはいつ位に思って、どの位で実現出来たんですか?

S 3年前ぐらいでですかね。何となくのイメージは持ってましたけど、決定的だったのがズクナシっていう4人のギャルバンドがいて、地元で行われてたイベントで初めて観てかなり衝撃を受けたことです。その時に、やっぱ音絡めたカフェやるぞ!になったもんで始めたのはかなり衝動的というか発作的(笑)。要するに嫁さんにはほんと迷惑掛けてます(笑)。で、おっしゃ〜やるぞ〜から1年経たない位で形にはなってましたね。 ま、リアルな話で言えば、なんとか銀行さんがお金貸してくれることになったので実現できたんです。じゃなきゃできなかったです。でも、最初に行った銀行の支店長に「こんな人口5000人の町でこの業種は無理ですよ〜クククク〜」ってマジでそれこそ鼻で笑われましたよ。いや〜かなり青臭いですけど燃えましたね。やったろ〜ぜってーやったろ〜的な。でも1年ぐらいしたらやっぱ経営が大変で支店長笑うのも無理ないか、と思う自分を押し殺したりもしました(笑)。情けねーー。

■(笑)仙台でやろうかなとかは考えなかったんですか?

S 全く考えないですね。だってそれはPILEさんだって同じじゃないですか?東京で事務所開きます?

■そっか…そうですね。

S やっぱり地元が楽しくなんないと。

■ CAFEを作って変化ってありました?

S そうですね僕の人生も変わったといえば変わったし、変化だらけですよね。カフェやらなきゃ出会うはずのないお客さん、ミュージシャン、店の協力者からいろんな体験と経験、そしてパワーとイメージをたくさん頂いてます。やらなかったこと考えると今じゃ恐ろしいですよ。

■ GATIには色んなアーティストさんを呼んでますが、それらはど のようにして繋がっていくんですか?

S 僕自身、音楽畑にいたわけでもなく、単なる一リスナーですからもともと繋がりとかは一切ありませんでした。なので交渉はほとんどライブ会場行ってゲリラ活動ですね。うちの協力者に昭和末期からの国内音楽アンダーグラウンドシーンの生き字引みたいなユカタンっていう人がいまして、とにかく新旧問わず音に詳しい。彼女がいろんな音教えてくれるのもうちの強みですね。今は東京に潜伏しててOLしながら情報収集にいそしんでますよ。(笑)

■ ライブ会場に?

S まあ、当然行って直ぐブッキングの話になりませんので名刺渡すなり、いかにリスペクトしてるかを伝えて、熱くウザ苦しい感じで(笑)。直球勝負です。んで戻って来て「ありがとうございました!」ってメールして、んで次また行った時に少し覚えててくれて。3回位行くと「是非いらしてください!」みたいな話をちょっとづつして4回目にはもう呆れられて、もう行くしかねーかと(笑)。CRO-MAGNON招致の時はそんな感じでしたね。でも初めてCRO-MAGNONの演奏を聴いた時にあまりの凄さに完全に怖気づいてしまいましたね。あまりにもライブが凄すぎて恐れ多くてなかなか話しかけれなかったですもん。
でもそれ以降はかなり図々しくなって機会がある度に好きなミュージシャンやDJに声掛けまくってます。節操ないくらい…

■ TOMEはどのような層に広がってくれたら嬉しいですか?

S 音楽好きの同じような感覚の方に届けば最高だと思ってますが、もちろんうちの米を食べて頂くのに特別、ターゲット的なものはあまり考えてません。逆に今年やってみてどんな層からどんな反応や意見をいただけるか。そしてそれが来年以降に繋がることが一番だと思ってます。恐らく同世代やミュージシャン・DJ含めやたら裕福、という人は稀ですよね。それ考えた時に5kg¥4500なんて米を買うかってことです。なので一番届けたい人と価格とのジレンマが…何とか克服していきたいですね。

■ そういう事も踏まえTOMEに懸ける想いとは?

お米の消費が増えること、レコード(音楽全般の)の消費が増えること、登米市が少しでも広く知られること。それらのことが何気に将来、楽しく生きられるかどうかの指針になるような気がします。言い過ぎですかね。でも米だけほしい方には迷惑な商品ですよね(笑)。

■ 柴田さんが求める登米の未来像とは?

カフェがある登米町は人口5000人の過疎の町です、うちの店のスタッフは全員20代の地元の女の子です。本当にみんなよく働いてます。そんな町でこのような若い世代が中心となった店を楽しみながら、もがきながら成立させる。それを見てもらって何か諦めてない人とかチャレンジしたい人がこんな田舎でも何とかなるんだって思って、新しい何かしらのお店ができる。そんな連鎖が起きて、仲間がどんどん増えて共存共栄というよりは独立と共栄といった関係性で影響しあう。そうした変な若者が増えていけばますます楽しくなると思います。そして最終的そうした個々人が実力を持った時、初めて大資本に影響されない新しい商店街ができなるんじゃないかと思ったりもします。それが将来的な夢というより、それしかないんじゃないかって思うことが多いです。


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