WOODBRAIN / ISSUE10

Date : 2008.12
Common Magazine issue10

HUMANREPORT × WOODBRAIN / 水面花木工

WOODBRAIN / 水面花木工 BLOG

ISSUE10 DETAILS


■ まずは簡単な自己紹介をお願いします。

WOODBRAIN(以下W)東北、会津で木工をやっている、WOODBRAIN/水面花木工です。

■ 会津は地元なんですよね?地元から発信するこだわりってあるんですか?

W はい、地元です。 発信する場所に特別こだわっているわけでは無いんですが、自分がつくる物には、
会津で育った自身の感覚の部分が、要素として入ってると思うんです。
なかなか難しい事だと思いますが、その部分を感じてくれた人が、そこから、会津という土地にも
目を向けてくれるという形が理想ですね。

■ 木工を始めたきっかけは?

W 中学の頃、部屋の改造にハマって、それからずっと内装業に興味があったんです。
最初から「これをやろう」という具体的なものはなかったんですが、周りの友達が、バンドやスケート、
絵を描いたりしていて、相当刺激を受けてましたね。自分も何かやりたいな、と常々考えてました。
2001年に福島の友達が、お店(skate&culture NATTYDREAD)を始める際、内装工事の手伝いに行ってて、
そこで看板をつくらせてもらう事になったのが、木工を始める最初のきっかけですね。
まあ内装工事に関しては、手伝いと言うより余計な事ばかりしてました。(笑)
それから間が空くんですが、2003年にNATTYDRE ADのロゴを彫って、もう一つ看板つくったときに、
コレだ、と感じました。今振り返ると、木という素材は子供の頃から身近にあって、
部屋の改造によく使ってたので、看板をつくる時も、木以外の素材でつくるという発想が
まったく頭に無かったですね。

■ じゃあ、最初に看板作った時は、特に意識してた訳じゃなかったんですか?

W そうですね。その時は、看板をつくるってゆう意識はもちろんあったけど、木工をやってるていう
意識はなかったです。 その後、色々つくっていくうちに、自分のやってる事は、木を使って物づくりを
するので、木工に近いかなと思ったんです。

■ 木工の道具って、それから徐々に揃え始めた感じですか?

W はい。一からだったので、つくる物に合わせて必要な道具を徐々にそろえていきました。
最初は余計な物も買いましたね。これあったら便利だと思って買って、いざ使ってみると全然使えないとか。

■ 具体的には主にどんな作品を制作しているのですか?

W 看板、フレーム、香炉、箸等ありますが、”木”という素材と、自分の表現を活かせる物なら、
形の枠を決めずにつくってます。

■ なんか、「こんなのも作ったなー」みたいな、ちょっと珍しい作品とかあります?

W うーん……… 主観的には、珍しいと思う物は特にないですね。

■ 見せてもらった写真で、なんか…鳥居みたいなの作ってましたよね?

W あれは友達が仙台でやってたVALっていうイベントを、会津に持ち込んでやった時ににつくりましたね。
別に神道を信仰してるわけではないんですが、鳥居には昔からなぜか引かれるんですよ。
理由は未だ解りません。不思議な力を感じますね。それと、シンプルだけど力強い、あの形やバランスが
すごく好きなんです。

 

 

■ WOODBRAIN、水面花木工、それぞれの名前の由来・意味を教えて下さい。

W WOODBRAINは、大好きなバンド、BADBRAINSから。水面花木工は、水面下で活動してるお花好きの木工家です。

■ 水面花って花は本当にあるんですか?造語?

W 造語です。水面下の下(ka)を花(ka)にしました。

■ ロゴのデザインも自分でやったんですか?

W USUGROWさんに描いてもらいました。

■ ちなみにロゴモチーフになってる花はなんなんですか?

W 「花を描いて下さい」とお願いしたんで、モチーフが在るかはわかりませんが、瞑想花という名前がついています。

■ WOODBRAINと水面花木工どっちがメインなんですか?

W 水面花木工は、WOODBRAINが何をしているのかを伝えるための補足。二つで一つです。

■ よくロゴの下に入っている数字は何なんですか?

W あれは会津の〒番号です。会津人ですって事で。

■ 様々なアーティストへ作品提供、またはコラボレートをしていると思うんですが、差し支えなければどんなアーティストがいるのか教えて下さい。

W そうですね、USUGROW,JUN KANEKO,BENE.…フレームをつくっているので、絵描きさんと
一緒にやらせてもらう事が多いです。フレームに関しては、まず相手の絵を活かす事。
その上で自分の気配をひっそりと共存させる事を意識しながらつくってます。
それがハマった時はとても気持ちいいですね。合作はそこに醍醐味、やりがいを感じます。

■ ってことは絵描きさんの作風なんかでフレームのイメージを変えたりとかもあるんですか?

W 勿論相手の色や雰囲気によって、まったく違ったものができますね。

■ 作品として、フレームを作るようになったのは やっぱり絵描きさんとの出会いがきっかけですか?

W はい。USUGROWさんの仙台のエキシビジョンでフレームをつくらせてもらったのがきっかけです。

■ USUGROWさんとの出会いを教えて下さい。

W USUGROWさんとは、10年位前、自分が高校生の頃、県内のハードコア、メタル、パンク等の
バンドが沢山でるライブで会いました。そこにUSUGROWさんのバンド(EVILCOCK ROACH・現ELLOTO)も
でてたんです。当時自分もバンド(といってもコピーバンドでしたが)をやっていたんで主催の人に
呼んでもらったんです。会う前から、USU GROWさんの描く絵が大好きだったので、
なんか変に特別視してたんですが、主催の人に紹介してもらって話したら、すごく気さくな人でした。
「これ、新作のステッカー」って言ってステッカーをもらったのが凄く嬉しくて,家に帰るまでにその絵を
百回位観ましたね(笑) それからこの日、EVIL COCKRAOCHのギターとベースの人がやっていた、
COCORO(r,i,p)っていうバンドを観て、衝撃をうけました。ただのパフォーマンスではなく、
表現にリアリティを感じて、それまであった価値観が一掃されましたね。
こういうのがかっこいいんだなって気づきました。USUGROWさんやCOCOROと出会い、影響を受けて、
「自分でも何かやりたいな」と思うようになっていきましたね。

■ USUGROWさんも福島の人ですよね?

W そうですね。

■ 基本的にUSUGROWさんが使っているのは全てWOODBRAINさんのフレームなんですか?

W 2005年に仙台で開催されたエキシビジョン以降、つくらせてもらってます。

■ BENEさんとの出会いを教えて下さい。

W BENEちゃんとは同郷同歳なんです。関係としては、高校の頃、大勢で遊んでたうちの一人でした。
特に連絡取り合う仲ではなかったんですが、20代前半にたまたまイベントで会って、そこで近況報告しあい
「お互いやってたんだね!」って確認しあって、そっから一気に仲良くなりましたね。

■ それだけ近い仲だと、やっぱりお互いの活動に刺激を受けたりしますか?

W 勿論受けますね。BENEちゃんは仙台に居るから、頻繁に会ってるっていうわけではないんですよ。
だから、前回から次ぎ会うまでの間に絵が深化してて、それ観て俺もがんばるべってなりますね。

■ JUNさんとはどんな繋がりだったんですか?

W JUNくんと初めて会ったのは福島のNATTYDRE ADですね。その時は挨拶程度だったんです。
それから2、3年後にJUNくんがやってるイベント、THIN KARONに、観たいDJが来るんで遊びに行った時に
展示してた絵を観て、強烈な印象を受けたんです。とてもきれいでした。そこから話すようになって
仲良くなりましたね。

 

 

■ 作品を生み出す際の自分なりの「こだわり」ってありますか?

W まず、作品をつくる上で「手作業という行為」自体が良いのではなく、「手作業だからこそできる、
良い物」をつくるという意識が根底にあります。あとは、木目のバランスと彫刻の配置には
特にこだわりますね。物づくり(木工に限らず何でも)をしている人なら誰でもそうだと思いますが、
材料探しから完成に至るまで、様々な場面でこだわりがあります。こだわりがなければやってないですね。

■ やっぱりこれを作るならこの木…とか物によって使う木を変えたりとかもあるんですか?

W ありますね。つくる物の用途や雰囲気に合わせて材料を選びます。

■ 一つの作品を作り上げるのにかなりの時間を要すると思うんですが、例えばフレームを作るとしたら
どれくらいかかるんですか?

W 彫刻無しのフレームだと、1本につき大体3日程度かかりますね。

■ 彫刻ありだとどれくらいですか?

W フレームの大きさによって、彫刻のバランスを考えるんで、大体2~3週間くらいはかかりますね。

■ WOODBRAINさんの作風である「あの模様」ってどんな意味が込められてるんですか?

W あれは木の内面を表現しています。最初の頃は花のパターンで彫ったらきれいだなって思って
彫ってたんですが、数をつくっていくうちに、元々木が内面に花を持っていて、それを表すために
自分が手を加えてるっていう感覚になってきたんです。あの花を内面花ってよんでいます。

■ 全面に細工するのでなく、ポイントで掘ってあるのもやっぱり理由があるんですか?

W 内面を一部に表す事によって、内と外の境ができるので、そこから目に見えない部分を
想像できるものをつくりたいんです。

■ WOODBRAINさんの作品や親交のあるアーティストにはSKATEとの深いつながりを感じるのですが、
やはり影響を受けているんですか?

W 影響受けてますねえ。自分でもスケートするんですが、想像、表現の方法が無限に在るし、終わりは
無いし、学ぶ事が多いですね。スケートで学んだ事は自分の作品づくりに反映されてます。

■ 4D7Sのゲンさんとも親交あるんですよね?それってやっぱり出会いはスケートがらみっすか?

W ゲンさんと初めて会ったのは、新宿でやった4D 7Sのアートショウだったと思います。
その時commonのみんなとも会ったんですよね。

■ その時って4D7Sアートショーを見るのがメインで東京に行ったんですか?

W その時は、蒲田にあるBLACKDALLASのリニューアルオープンで、お釣りを乗せる皿をつくらせてもらったんでお祝いかたがた観に行ってて、アートショウがあることも知ってたので行きました。
あとは作品持って気になる所ふらふら回ってましたね。

■ 現在の福島・会津のストリートシーンはどんな状況ですか?また、WOODBRAINさんから見た
仙台のストリートシーンにはどんな印象がありますか?

W う~ん、ストリートシーン…意識して観た事ないですねえ。何処から何までがストリートシーンかも
よく解らないんです。

■ 今後の展望を教えて下さい。

W これからも内面花を色々な形に表していこうと思っています。それと、作品をつくり貯めて個展を
やりたいですね。根元は変わらずしっかりと残る物をつくっていきたいです。


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