SADAM / ISSUE12
Date : 2009.06
Common Magazine issue12
HUMANREPORT × SADAM
■ よろしくおねがいします!
SADAM(以下S) よろしくおねがいします!
■ ではまず簡単なプロフィールからお願いします!
S プロフィール…1979年2月15日生まれ30歳です。
■ 多分昔から描いていたと思うんですけど、本格的に絵を描き始めるキッカケになった事っていうのはなんかあるんですか?
S 始めるキッカケは…まあ元々、CDジャケットやフライヤー、ポスターなんかを描きたくて、この道に
入ろうと思ってました。手描きにこだわるのは、絵を描くのはもちろん、人間臭い絵が好きだから。
■ SADAMっていう名前の由来ってなんなんすか?
S あれは本名です。研究の「究」一文字で「さだむ」っていうんだけど、最近流行ってる当て字ってやつで。うちの父ちゃんがすごい頭いい人で、歴史の学者みたいな感じだったんだ。
■ 大学の教授さん的な感じですか?
S あの、多賀城に歴史博物館あるでしょ?あそこに勤めてたんだけど。教員免許とかも持ってて。…でうちに父ちゃんの書庫があるんだけど、そこにある本が漢文だったりでレ点とかも全然ふってないんだよね。そういうのを読んでた人。母ちゃんが学生に寄付してたけど、そいつらは「これはヤバい!」つって持ってったよ。
うちの兄ちゃんは建設の「建」で「たつる」って読んで、一番下が徹夜の「徹」で「とおる」って読むんだよ。
で三人あわせて「建究に徹する」って意味になるっていう…
■ なるほど!すごいセンスがあるお父さんですね。
S そうだね。頭の良さじゃ勝てないね。だから名前負けしないように頑張ってるよ。
■ あえてなんですけど、影響を受けたアーティストとかいるんですか?
S …最初に影響を受けたのが水木しげるで、それがたしか小1ぐらいの時かな?ゲゲゲの鬼太郎が再放送
されてて、それが好きで…兄ちゃんがマンガ本読んでて、ゲゲゲの鬼太郎の。…で俺も、文字はその時漢字とか読めなかったから。絵だけ見てたんだけど、兄ちゃんが、これ全部手書きだよって言ってきて、それで「えー!」ってなって…でマネして描いたってのが始まりかな。
■ それは今も変わらず好きな感じなんですか?
S うん。今も変わらずだねー。
■ 今、原画集みたいなの出てますよね。妖怪化(ムジャラ)とかっていう。
S うん。それも4巻まで買ったかな。あの、DVD付きのやつ。
■ 完全版っすね?俺もとりあえず東北版だけ持ってます。
S あ…あとやっぱり兄ちゃんの影響も受けてたかな。兄ちゃんも絵がすごい好きで、兄ちゃんのをマネしてやってたっていうのもあったかな。今は絵を描いてるかわかんないけど、兄ちゃんが本気で描いたら、たぶん
今でもやられると思う。当時から俺にはない繊細な部分があったから。
■ なるほど、じゃあ絵を描くっていうのはお兄さんの影響で、その時身近にあったモチーフが水木しげる
だったって感じですか?
S うん。水木しげるの妖怪達だね。ひたすらマネして描いて、水木しげるってリアルな所は本当に
リアルだから、そこも点とかでマネして描いて…だからわりかしリアリティにはこだわってたかな。
まぁそんな小学生でした。
■ …でその後はまた違う人の影響があったりとか?
S 高校からバンドをやるようになって、フライヤーとかポスターなんかを目にする機会がふえてきて、SHALLのBLACKっていうお店に貼ってあったHALF LIFEのKEEP AN EYEのフライヤーにドキッとした
記憶があるよ。それを描いたのが薄黒さんで、その事を知ったのは最近だけど。その頃くらいの時かな、
俺もこういうのやりてえ〜と思ったの。当時は手描きのフライヤーとかジャケットが多かったから。
いい時代でした。
■ バンドを始めたキッカケは何ですか?
S 中3の時に、同じ町内の3丁目の角にテルヤってやつがいて、そいつの家に遊び行った時に、くわえ煙草で
プレッシャードロップを弾いてて。その姿を見てテルくんかっけえ〜って思ってギターに興味を持ったかな。
そいつの家は「鳥こう」っていう焼き鳥屋やってて、親は夜仕事だから家は子供の天国で、週3、4回通ってたかな。ギターの練習と煙草を吸いに。そいつがいなければ今の俺はないね。そいつが色々かっこいいバンドを
教えてくれたんだ。あと、2個打ちとかいけない遊びも。そんで、あっという間にテルヤよりギターが
うまくなって、バンドを組もうって思ったかな。
16歳くらいの時はちょうど第二次パンクムーブメントみたいな流れがあって、メロコアっていうことばが
流行ってて、俺もNOFXのコピーバンドやってたんだけど、高校の友達にこういう音楽もあるよって、
SICK OF IT ALLのテープを渡されて、かっけえ〜っていいながら聞いてたよ。そしたらすぐにそのS.O.I.Aが仙台に来ることになって、チケットが5500円でハンパなく高かったけど無理してキメて観に行って、それからすっかりハードコアにハマってったよ。
■ 音楽からのインスピレーションもありますか?
S 音楽は大事だね。描く時は常に流してるし。結構大きめで。
■ 好きなギタリストは?
S 個人的に好きなのはMike NessっていうSOCIAL DISTORTIONのギターボーカル。
■ 絵のスタイルっていうのはその頃から変わらずって感じですか?
S そうだね。点画とか細かいタッチとかは、もう染み付いてるものだから。それにやっぱりそういう
ストリートカルチャーなり、タトゥーだったり、そういうのを見てスカルとかにも興味を持ち出すように
なったね。PUSHEADとか薄黒、そういうスカルをモチーフにするアーティストをよく見るようになったね。
だけど初めの頃は影響を受けすぎてたかな。
■ 勝手なイメージなんですけど、モノトーンの作風がメインなのかなーって思ってるんですが、そこにも
こだわりがあったりするんですか?
S いや…色でしかできない表現とかもあると思ってるから、別にそこにこだわりはないんだけど…でも、
白黒の雰囲気はスゲー好きだね。
■ 自分で色をつけた作品も結構あるんですか?
S …MXMXMの最近のビアボングのあれなんかはフルカラーだね。原画は白黒だけど。
■ ちなみにTHUNDERさんとこでカラーついてるやつあるじゃないですか?あれもですか?
S あれはTHUNDERの三浦さんが考えてくれてるよ。ただ、色をつけてほしくなかった絵も正直あったね。
カラフルな方がTHUNDERらしいからなんとも言えないけど、物作りに関しては天才じゃない?変態だね。
■ ちなみに主観でも客観的にでもいいんですけど、自分の作品でここはこだわってる!自身ある!
みたいなところってありますか?
S まぁまだこれといってスタイルは…自分の中で確立されてないと思ってるから、色々毎回冒険したりは
してるんだけど…でも最近自分らしい雰囲気はでてきたかな。雰囲気だけだけど。そういうところを大事に
しつつ…って感じかな。
あと最近は白抜き…黒に白で点打ったりとか、背景の「あいまいさ」なんかにこだわってるかな。
■ 「黒に白」の作品のときは最初に黒を塗っちゃうんですか?
S うん。塗っちゃう。
■ そこに白のインクを落としていく?
S うん。その白いインクも、結構探してるんだけどなかなか上手くのってくれるのがなくて。
■ それはやっぱり最初から黒い紙にインク落としてくってのはNOなんですか?
S いや、それもありだと思うんだけど…ネガティブとポジティブをこう…一枚の絵に共存させて、
なんていうんだろうコントラストっていうか、そういうのを上手く表現できればなっていう。それで…う〜ん。
なんて言えばいいんだろう………そういう感じ。
■ なんか…黒を塗るとこからもう作品の味をだしてるっていうか?
S そうだね。だから俺の絵をパソコンとかで反転(諧調)させるとすごい事になっちゃうんだよね。
■ ちなみに絵のモチーフは…スカルとか色々あると思うんですけど、どのへんからチョイスするんですか?
S 頼まれて描く時はある程度テーマがでてだね。
■ こういうのを描いてほしいみたいな?
S そうだね。あとはスカルが好きだから、そういうのを入れてみたり。
■ 依頼じゃなくて自分で自由に描くときはどうなんすか?
S 最近は景色とか、その辺の風景とか見てビビっときたやつとかをモチーフにしてるかな。スケートとかで
やたら気になるクラック(ヒビ割れ)とか、その帰りとか…
■ スケートはいつ頃から始めたんですか?
S 19,20歳くらい。もともとスノーボードをやってて、その流れでスケートボードを始めて…やり始めの頃は冬は山、それ以外の季節はスケートって感じだったけど、気持ちのバランスが徐々に片寄ってきて、今じゃ年中コンクリートです。絵へのインスピレーションもスケートからのが強くなってきてるね。友達との会話からも
たくさんテーマをもらったり。帰りの道中が一番ビビッとくるかな。あの、朧月夜の絵とかあったでしょ?
■ はい。
S あれはバーラン(BIRDLAND)の野外イベントかな?定義山でやってたんだけど、その時の定義山の風景で、ダムの上にこう…満月が浮いてて、雲がいい感じにかかってて。それをガシャドクロが覗いてる感じに
して。俺だからそう見えたんだね。
■ そういう時って写真かなんかに収めるんですか?
S いや、頭に残しておく感じ。
■ イメージに想像をプラスして…って感じなんですね。じゃあキャラクターものっていうとあれなんすけど、スカルとかああいうのはどうなんすか?毎回やっぱり同じ物はないじゃないですか?
S スカルはやっぱりオリジナルスカルを描きたいっていうのは常々あるから。それを目指してやってるね。
前のスカルを描いてる時に感じた事?次はこういう風に描いてみようとか、こういうのをやったらどうなるん
だろうとか。そういうのを積み重ねてって感じかな?
■ 毎回描いてる時に次のアイデアが生まれるって感じですね?
S そう。で、最初想像してたやつと出来上がりはやっぱ違うから、描いてる途中に、ここをこうやったら
どうなるんだろう?とかここはやっぱりこうしてみようとかもあるから。それも結構面白いかな。
■ さっきちょっと思ったんすけど、黒地に白の作風の時って鉛筆ラフとかいれたりしないんですか?
S ないよ。一発です。
■ じゃあなにかミスったら終わりな感じですか?
S 黒で塗りつぶしてまたやる感じかな。
■ 基本的にラフは書かないんすか?白地の時も黒地の時も。
S いや、ラフは書くけど、本当適当。自分だけ分かればいいかなって感じ。
■ じゃあ影とかはラフ段階では無くて、インスピレーションで足してく感じなんすか?
S そうそうそう。
■ …すごいっすね。
S …そう?彫師の方がすごいと思うけどな。人の肌だからね。
■ 普通に「紙」に描く意外になんか面白いものに描いた事あるとかってありますか?
S あるよ。
毎年ミツルさん(卍グラフィックス)の追悼イベントをナスパっていうパークでやってるんだけど。
去年そこのランプのボトムに彼のロゴをペイントしました。あのデカさは大変だったけど、エネルギッシュで
気持ちいい絵が描けたね。NEVER FORGET(イベント名)にとても合ってる絵だと個人的に思います。
あとは渡辺スタジオに飾ってあるマネキン。
あれは下着のディスプレイ用で、中に蛍光灯が入ってて光るんだよね。それを活かそうと思って、黒で全塗装
してから、スクレーパーで削って絵を描いたんだけど、一発書きっていうのもあってその過程がとても印象的で、いろんな事を感じた。
マイナスの表現の奥深さというか、、、あと、自信もついた。最初に黒く塗りつぶしちゃったからね。「うわ〜後戻りできね〜」みたいな。最初の一筆を入れるのにかなり時間が掛かったよ。ビビってたんだね。でも仕上がりはイメージ通り。
今後も削った作品にチャレンジしていきたいな。だから今回の表紙もそうしました。
削ってる時の音もいいんだよ。
シャーーーー、ガリガリガリッ、シャーー、シャーーーてな感じで。
■ …あとちょっと思ったのが、SADAM君の絵って基本的にメインのモデルモチーフがいて…って印象が
あったんですけど、風景とかはあまりイメージなかったですね。
S あ、そうだね。最近だね。風景とか入れるようになったのは。風景を入れたいって思うようになってきたのと、あとトリックアート的な…ダブルイメージみたいなのもやってみたいっていうのがでてきたかな。
■ 動物を描いている作品も結構ありますよね?「ライオン」とか、「女性とヘビ」とか「サメ」とか。
スカルを描く時とはまたちょっと違うと思うんすけど、ああいったモチーフ選びもその時のSADAMくんの心境みたいなのが関係あるんですか?
S いや、同じ感じで描いてるね。
■ あと、「デビル」の絵も結構ありますよね?天使は描かないんですか?
S よく映画なんかで悩んでる人の横に天使と悪魔がでてきて囁くシーンがあるでしょ?誰にでもそういう
場面はあると思うけど。
俺は悪魔のあの「やっちゃったらいいじゃない」とか「やってみりゃわかるよ」っていうノリが好きかな。
冒険心や子供心を感じるでしょ?天使は「やめた方がいいじゃない」とか「後悔するよ」とか、
なんかやだよね。保守的というか現実的というか…。
■ モチーフにでてくる小物というか、例えばさっきのビアボングとか、SADAM君がその絵を描いた時の
リアルタイムな生活の中からのインスピレーションなんかもあるんですかね?
S ほとんどじゃないかな。社会的な絵も描いた事あるよ。デビルがi-podみたく地球を聞こうとしながら
ニヤニヤしてる絵。あれも良かったなあ。
■ 絵描きさんって人によりけりですけど、一つのモチーフに絞ってひたすらそれを描き極める、という人も
いるじゃないですか?SADAMくんはそういうこだわりってありますか?
S 俺のテーマは進化。
■ 海外から依頼がきたりとかは?
S 一回チェコのパンクバンドからポスター描いてっていうのがあったよ。…で描いたらそのまま音信不通になったんだよね。その作品は和に飾ってあるよ。
■ それは…使われたとかそういうのは?
S いや、それも分かんないんだよね。でもまぁせっかくいい絵かけたからこっちで使おうって思って。
■ 例えば自分のイメージと全然かけ離れたようなところから依頼がきたらどうします?
S ……多分こないんじゃないかな。
■ さっきチェコのバンドから依頼がきたっていうのあったじゃないですか?それと逆にSADAMクンの方から海外の方に向けてプロモーションしたりっていうのはあるんですか?
S 今後あるんじゃない。
■ アメリカは?
S タイミングをみて行ってみたいです。
■ 他に行ってみたいところとかあります?
S ギアナ高地だね。
■ どこなんすか?
S 南米。かなりの秘境。
■ 秘境…
S ヘリじゃないと行けないみたいなんだけど、エンジェルフォールっていう雨期にしか見れない世界最長の
幻の滝があって、高すぎて下の方で水が全部霧に変わっちゃうんだって。
■ すごいっすね〜。
S そこだけは昔からずっと行きたいって思ってるね。
■ 最近バルセロナの方に行ってましたよね?なにか面白いエピソードとか、それこそ自分の絵に対する新鮮な発見とか、影響ってありました?
S もちろんあったよ。あっちの建物を見て、その彫刻の細かさとか…向こうの職人達の気の使い方とか?
帰ってきてすぐ描いたのが、4月にBIRDLANDでやった個展のフライヤーのスカルなんだけど、あれは
サグラダファミリアとサンパウ病院のイメージ。
■ あのスカルは結構何度か描かれてますよね?描く度にアップデートされていってると思うんすけど、なにか特別な思い入れがある絵なんですか?
S あのスカルは特別だね。
最初に描いたのが、今から4年前なんだけど、このままの描き方じゃダメだと思ってあれを描きました。
ゆっくり時間をかけて。それからいろんな表現に繋がったきっかけの一枚だね。
ワールドカップじゃないけど、4年越しにまた描いてみようと思ってまた時間をかけて描きました。
あれはどっちも下絵なしの一発で描いてるので、当時の気持ちやテクニックが正直に出てると思う。タイトルは「EVOLUTION」。4年後がまた楽しみだね。
■ 今後は個展の予定はないんすか?
S 今度ね、KAZって画家がいるんだけど。その人と「空展」みたいなのやろうかなって思ってます。
■ 一つの作品を描きあげるのってどれくらいかかるんですか?
S 絵によるけど下書きがすごいかかるね。3日とか。
全部仕上げるので大体一週間くらいかな。一番長くて一ヶ月ってのもあったね。
■ …気になってたんすけど、HPとかあるじゃないですか?ああいうのも自分でやってるんすか?
S あれは嫁です。嫁がWEBのプロフェッショナルなんでお任せしてます。ブログだけ自分で書いてる
みたいな。
■ なるほど。ちなみに色々あるとおもうんですけど、今後こういう事やる!みたいなのってあるんですか?
S …でっかい絵を描きたいかな。何ヶ月かかるかわかんないけど大作を。今年中には描くよ。
■ 絵は常になにかしら描いてるんですか?
S いや、描かない時もあるね。
■ やっぱりテンションの上り下がりみたいなので?
S だね。起きてすぐは描けないし。
■ そりゃまぁそうですよね。
S みんなとスケートに行って、そのままの勢いで描くのが結構好きかな。そういう時って「スピード感」とかそういうものがそのまま出るんだよね。…まぁテンション上がってるんだろうね。でバァー!と描いてバタンっと寝るって感じかな。そういう時が一番充実してるね。
■ なるほどですね。いや、ずーっと常になにかを書き続けてるのかなって思ってました。
S いや〜、2時間くらいごとに休憩入れないとね。点打ってる時とか意外にエネルギー使うからね。
■ …あとちょっと聞きたい事があって、これは絵描きさん全てに聞きたいなって思う事があったんすけど、色々なアーティストがいるじゃないですか?世界中に。で、色々な画風があると思うんですけど、そこで
…やっぱ「日本人」じゃないですか?…でアメリカであったり、その他の地域のアーティストに憧れて
描き始める…で自分のスタイルを探していくっていうのがあると思うんすけど、そこにやっぱり
「日本人としてのこだわり」や「日本人だからこそ描けるものを出していきたい」みたいな意識ってありますか?
S それはあるね。最近は特に意識してるかな。先人達の絵もすごい好きだから。
あの…狩野派一族とか、若冲、石燕、北斎、暁斎…あと曾我蕭白もヤバいね。
■ 意識してるっていうと「タッチとして」ですか?それとももっと深い部分で?
S タッチ的には俺はそんなに「日本的」みたいな感じじゃないから。どこかしらに入れたい
(日本的な要素を)っていうのはあるけど、逆に「にじみ出てる」感じでもいいのかなって思うね。
俺はもう思いっきり日本人で、日本語で怒ったり喜んだり…日本の季節も楽しんだり。そういう染み付いた生活からの、ああいう絵だから。何より日本の風景、日本の空、日本の町、日本の食べ物が好きだし、毎日見てるから。タッチで表現とかいうより…例えると、刺身食べたら白いご飯食べたくなるでしょ?でもそれは外国人には分からない感覚なんだよね。日本人にしか分からない部分。
そういう感覚を積み重ねた「日本人の俺が描いたあの絵」みたいな感じかな。…難しいね。
■ これは個人的な考えなんですけど、自分も海外のアーティストとかすごい好きなんすけど、彼らはやっぱり彼らなりに自分の国のカルチャーを重んじてるっていうか…日本人だったらやっぱり日本のオリジナリティを
出していかないと世界に出したとき面白くないんじゃないかな?って思ったりするんですよね。
だからSADAMくんの絵がモチーフに「濡れ女」とか日本の妖怪とか出てくるのがすごい好きです。
S 俺にはその意識はあるけど。でもまぁ自分の国のカルチャーが嫌いで外国で活動しているアーティストはいっぱいいるから何とも言えないね。
あれは河鍋暁斎が描いたやつ。河鍋暁斎が「濡れ女」ていう妖怪をああいう形で描いて、暁斎のだと桶に
入ってて足下は見えないんだけど、俺の場合は足元を蛇女みたいにアレンジしてみたんだよ。
■ 完全に自分のオリジナルで描いてみようみたいなのはないんですか?
S いや、やっぱりあんま変えすぎると。そこに対するリスペクトみたいなのもあるから。水木しげるだって
鳥山石燕の妖怪画をもとにしてる部分あるでしょ?そういうのはやっぱ伝承っていうか、変えちゃいけないの
かなっていう感じだね。
■ SADAMくんが活動の場として「仙台」を選んでいるのは、もちろん「地元だから」っていうのもあると
思うんですけど、こだわり的なものがあるんですか?あと拠点を移して活動しようって考えた事とかはありますか?
S なくはないね。TIMING IS EVERYTHING。これに尽きると思う。まずはその時がくるまでしっかり自分を固めないと。拠点が仙台なのは……今は周りのみんなの流れもすごくいいし、しばらく離れる気はないかな。
柏木に住んだ事はある?住めばわかるよ。
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