Mailman / ISSUE17

Date : 2010.09
Common Magazine issue17

HUMANREPORT × Mailman

Mailman PROFILE

A-RAG-R SOUL PROFILE

ISSUE17 DETAILS


□ お願いします。

MAILMAN 以下M お願いします。

□自己紹介をお願いします。

M MAILMANの店長のA-RAG-R(あら汁)です。

□ お店を始めたきっかけを教えてください。

M きっかけになったのは、昔から知ってた門馬さんと二人で共同経営っていう形なんですけど、まだ盛岡住んでる時にビデオチャットをしてて、レコード屋の話になり、レコード屋がなくなってる今だから逆にインパクトがあっていいんじゃないの?ってことで始めるきっかけになりました。

□ 門馬さんとはもともと知り合いだったの?

M 専門学校の時に仙台に住んでたことがあって、その時から知り合いで、なぜかチャットのIDも知ってたっていう…。

□ じゃあビデオチャットがきっかけで?

M そうですね。

□ 仙台にはちょくちょく遊びに来てたの?

M 仙台に遊びに来てたのは昼じゃなくて、夜クラブでゲストの人が仙台までしか来ないっていう時は見に来てたりしましたね。

□ 盛岡にいる時は自分でイベントとかやってたの?

M 盛岡の時はDJ BAR DAIっていうクラブがその時はあって、そこのイベントって基本クラブ側が提案してるイベントをやるSTYLEだったので、呼ばれた仲間同士でコンセプトを決めてイベントしていました。

□ クラブからDJに声が掛かるっていう?

M そうですね。MIX CDとかMIX TAPEを渡したりして、いいなと思えば土曜日にいきなりポンッとやってみない?って言われるという感じで。普通のクラブとはちょっと違ったスタイルですね。

□ そのやり方ってすごいいいね。

M うん、結構おもしろいっすね。

□ クラブの色が出るし、レベルも凄い高くなってるよね。

M 相変わらず低いですけど、僕は…(笑)。

□ ははは…(笑)。じゃあ、その中でレギュラーで呼ばれてたイベントとかもあるの?

M 基本は月に1回平日木曜日に高校の時から友達だった奴らと一緒に一個枠をまかされてやってて、ほんとごくまれに金曜日土曜日とか…仕事で金曜日土曜日最初っからいれないっていうのがあったので、あんまり呼ばれるってことがなかったんですけど。

□ 門馬さんとの繋がりも昔から音を介した繋がりだったの?

M そうですね。初めて会ったのは仙台のネオブラザーズです。その時DJ KENTAROさんとかSHIMAさんとかがやってたジャズインプレッションズっていうイベントに遊びに行ってたら、ちょっと変わった人居るな〜って(笑)。そんな感じの印象だったんですけど(笑)。

□ 基本やっぱり音ありきの関係だったの?

M そうですね。

□ レコ屋がどんどん減ってる中で、レコ屋をやろう!って二人で意気投合して始まった?

M 本当はカフェ的なものとレコード屋を一緒にできたら一番良よかったんですけど、さすがに場所代もかかるし、広さもっていうことでレコードだけで始まったという感じですね。

□ 二人の関係は対等な立場でやってるの?

M 何か決める時は必ず二人で話し合ってあ〜だこ〜だ言ってやる感じなんで。

□ MAILMANの名前の由来は?

M 最初にきたのがMAILって名前だったんです。でもなんか普通にありふれた言葉じゃないですか。携帯のメールもあるし、なんかちょっとそれは普通の会話でおかしい感じになっちゃうと思って、なんか違うのがいいですね〜みたいなこと言ったら、門馬さんがバスケ好きなんで、メールマンっていうでこぼこコンビがいるって言って。容姿もまあ似てるっちゃ似てるなって感じでそっから始まったんですけど。メールマンの二人のあだ名の由来が、二人のどっちかがボールを持ったら必ず点決めるみたいな…なんでまあ後付けで、海外からとか日本からでもどこでもいいんですけど、ものを持ってきたら広めるみたいな、ゴールさせるみたいな感じで。あ〜それいいっすねみたいな感じで。

□ MAILMANっていう前にMAILっていう単語がもうきてて、その言葉にこだわりがあったの?

M う〜ん、こだわりがあった訳ではなくて、届けるとかそういう意味で、あんまりレコード屋で使いそうじゃない言葉でもあるし、っていうとこからきてるんですよね。

□ 場所は盛岡じゃなくて仙台に出したのは何か理由があるの?

M 門馬さんはずっと仙台に居て、僕は盛岡でやってたんですけど、本当だったら盛岡の方が僕としてはずっと住んでる場所だし、実家もあるし慣れ知ってるんでよかったんですけど、レコード屋をやりたいってなると盛岡の方が今の時点でも、始まる前の時点でもレコード屋が多いのは盛岡なんですよ。仙台は始める時にはあって多分3、4店舗しかなかったんですけど、盛岡には今でも6店舗はあるんで、そん中に入ってやるっていったら盛岡の人口は仙台の1/3位しかいないので、ちょっとそれは営業的には本当にきついというか、やっぱりやるからには…まあそれで一回住んだこともあるし、仙台のレコード屋無くなってるし、でもGAGLEだったりとか色々なアーティストが居るじゃないですか?アーティストが多いのは仙台で、レコード屋が衰退してるっていうのはちょっとおかしいですよね。まあそのシーンを作るのに貢献できたらっていう感じで仙台を選んだんですよね。

□ でも仙台でレコ屋がなくなっていく中で、仙台に出すっていうことに不安はなかったの?

M 不安はもちろんありましたけど…(笑)。まあ正直なんとかなるんじゃないかっていう。広めるスピードで言ったら盛岡よりは断然早いであろうと踏んでるところもあったし。

□ 盛岡の方がレコ屋が多くて、仙台の方が少なかった。それってやってみて、「あっだからだ」みたいなことってある?

M 「だからだ」っていうのはちょっとは感じますけど、でもそこを変えていかないといけないのかなっていう。

□ ちなみに「だからだ」っていうのは何だったの?

M これは仙台の人にはすごい申し訳ないような言い方になるかもしれないですけど、仙台の人口の半分ぐらいは他県の人だと思ってるんで。仙台の人でそういうのが好きな人は東京へ行ったりとかいきなりもう海外に行っちゃったりとか、まあデザインとか何にしてもそうなんだと思うんですけど。で、そこに行かない人が集まって来てるというかなんと言うか…東北各地から集まってる印象の方が強いので。ウチにくるお客さんで仙台出身の人ってあんまり…仙台に住んでるけど、仙台出身じゃない人の方が多いので、やっぱり東北各地から集まって来てるなっていうイメージがあって、まだここに来てくれる人はいいですけど、クラブだけしか行かない人とかもいるんで、まあそれが原因っちゃ原因なのかなと…遊びには行くけど。

□ まあ確かに。今この場にも仙台生まれはいないしね。そういうのはやっぱ影響あるのかな?

M う〜ん、どうなんですかね?でもレコード買いにくる人は、やっぱり他県に住んでる人の方が多いですね。他県でがんばっている人が仙台に来たついでに寄ってくれたりとか、そういうのはすごい多い気がします。

□ 中途半端な都市なのかな?

M まあ都会っちゃ都会ですけど、そこまでじゃないかなっていう。まだ発展しきれてないのかなっていう。

□ 人の出入りも激しいもんね。

M そうですね。大学で四年間しかいないとか、っで地元帰るって人も結構多いですし。

□ MAILMANはどんな感じのお店なのかな?

M 軸になってるのはHIPHOPとHOUSE寄りなHIPHOP、あとは生音と言われるSOUL,JAZZとかがほとんどっちゃほとんどなんですけど、かといってROCKがないかって言ったらROCKもあるし…どれが強い?って言われたら本当に困るんですけど(笑)。でもまあTシャツとか絵とかも売ってたりするんで、総合的に見て楽しんでほしいかな、来てもらってっていうのが強みなんでしょうか?

□ 始めからどんなお店にしたいっていうのは門馬さんと何か話してたりしたの?

M ざっくりで言ったら本当に…利益的な事も考えると新譜だけで全部やるっていうのは、今の世の中では不可能なので中古がベースになって、でも今でも新しくていいモノは常に出てるし、それをお客さんに見せられたらいいねっていう、あとは色々な、例えばTシャツ作って売るとか、そういう人の方がちょこちょこ扱ったりとか、周りも巻き込んでいけるようなココをつくれたらいいなというのがざっくりとした最初の話でした。

□ レコ屋っていうジャンルの時点でターゲットが結構コアになる?

M そうですね。まあいると信じてっていう、そういう風になる人が。やっぱレコードはCDと違って、CDは30年聞いたら聞けなくなるっていう話があるんですけど、レコードは傷とかカビとか生えない限りはずっと使えるし、例えば今データとかで配信もありますけど、パソコンが壊れてデータが吹っ飛んだら終わりっていうことがないし。だからずっと聞き続ける人はレコードのファンっていうのは消えないと思いますし、まあ場所はとりますけどそこはジャケットの良さとそういうのも加味していいとこなのかなと思って。逆にパソコンでやってた人がアナログに変わるって人もまあ少ないですけど、何人か出てきたりとか。

□ MAILMANのお客さんでいるんだ、そういう人が。

M ここがきっかけではないんですけど、山形のDJの子だったりとか、どうしてもパソコンのDJとアナログのDJが混ざると、4チャンとかあるミキサーだったらいいですけどあんまり設備が整ってないところに行くと結構ややこしかったりとかするっていうのもあって、そういう環境もありつつ、レコードも買うっていう人が現れたりとか、いろいろ変化はしていくのかなとは思ってます。まだ見続けてる段階ですけど。

□ 中古がベースになっているという中で、新譜にしても中古にしてもセレクトの基準ってありますか?

M HOUSEの方は僕はどっちかっていうとHIPHOPから色んなの聞くようになったんで詳しいかって言われたら、ほんと好きなやつしか分かんないレベルなんですけど、HIPHOPは僕が基準でオススメしたいようなのを選んで、HOUSE・TECHNOの方は門馬さんが基準でずっと売り続けたいモノを中古で仕入れてきて、あと生音に関してはネタものだったりとか、あとはレアなDISCOとかは僕も知ってるし門馬さんも知ってて、まあお互い知らなくてもいいんですけど、それでヤバいと思ったものが入手可能であれば仕入れてきて売ってるっていう感じです。

□ うまく二人で担当分けしてやってるっていう感じ?

M そうですね。

□ お互いが仕入れてきたモノって、お互い把握してるの?

M 一応仕入れをつけるのは僕なので、何を持ってきたかは分かるんですけど。僕も聞かなきゃ分からないのもあるし、多分門馬さんも聞かなきゃ分かんないのもあるし、そこはお互いに仕入れてきたら試聴会じゃないですけど、聴かせ合うような。

□ これはないでしょ!みたいなことってあったりするの?(笑)

M それは正直あったりはしますけど(笑)。でもそういうのを買ったりするんですよね、お客さんが。だからこういうセレクトも僕にはないけど、こういうの出来るから頼ってる部分もあるし。逆に僕がコレいいって言っても、向こうはあんまりって思っても売れる場合もあるから、お互いに。

□ お互いが積み重ねてきた知識の違いみたいな?

M 最終的には同じものが好きにはなってるんで、ポンッと外れちゃうと分かんなかったりするのは門馬さんから聞いて、あぁそうなんだみたいなっていう情報交換はしつつですね。

□ ちなみにケイタロウ君が例えば門馬さんのセレクトしたモノでコレないでしょって思ったんだけど実際店に入ってきて、だけど売れるんだみたいなのでびっくりした曲ってある?

M なんだろうな〜(笑)。ファンは居るっていうのは知ってたんですけど、ヨーロッパのジャズで…プログレッシブロックとかの、ウチで売る売値は万とか超えるんですけど結構レアな盤があって名前が読めないぐらいのオランダ語か何かで、その人の盤とか…これ格好いいっちゃかっこいいけど高いし売れないかなとかそういうのもあったんですけど、ポンっと売れたりとか、以外とあっさり売れたりとか。基本オランダから仕入れてきたもので結構変わったのあるんですけど、まあネタとして今から使えるって思った人が買ったりとか、そこら辺は聞いた事ないジャンルだったんで…あるっていうのは知ってたんですけど。曲で言われると困るけど、HOUSEとかTECHNOはやっぱそういう人が来たときは勧めて買うから、これは売れないだろうとは思った事はないですけど。

□ MAILMANイチオシは?っていう質問がありますけど(笑)。

M 常には、シャツだったりパーカーだったりCDだったりっていうのを今からやっていこうかっていう話になっています。レコードを買わないっていうお客さんは多いけど、GAGLEが好きでMAILMANを知って来たけど、自分はCDしか買わないっていう人用の、例えばDJ Mu-RさんとMAILMANのVol.2とかを買ってもらったりしてくれればいいかな、イチオシというか。他県から来てもお土産的な感じで、ウチでしか売るつもりは実際ないんで、それでMu-Rさんも了解してくれているんで。イチオシなんですが…(笑)。

□ すごい良いお店作りをしているから、色んなアーティストさんが興味を持ってくれてるよね。

M そうですね。色んな人が書いてくれたりしてますね。

□ TOKIO君とかもそうだよね?

M TOKIOさんはMAILMANに合いそうな絵をわざわざ4枚書いてコレを売ってって言って持って来てくれて、ありがたいですね。

□ 仙台のカルチャーにはすごい根付いてますよね。

M もっと根付かせられるようにしたいですけどね。

□ HMV仙台店が閉店するということは、音楽は商品としてなかなか売りにくいっていうか?

M やっぱり生活にはみんな必要がないって言ってしまったら…。

□ でもなんだかんだ言って聞くわけだし。

M まあ聞くんですけどね。

□ CD自体がなかなか売れなくなってる流れの中で何か思うところはあったりする?

M う~ん、大手がつぶれると本当結構ショックなんですけど、言い方あんまりよくないかもしれないですけど、あんまり商業的にものを売ってる感覚ってなくて、MAILMANはジャンル問わず、CDでも欲しい商品、アナログでも欲しい商品をセレクトして置いてるつもりなので、大手のCDとかを比べる対象にはならないかなと思ってます。ウチに来てくれるお客さんって、さっきも言った通り、何かを見てMAILMANを知って来てくれるって言う人が大半なので、もちろんレコード買わない人もいるし、服しか買わないで帰る人ももちろんいるんですけど、その中でやっぱりCDだったら買いやすいって言う人もいるんで、その人の為にウチでセレクトして、要はそのアーティストが好きで来てくれたんで、趣味思考が一緒みたいな感じだと、まあ僕が勝手に思っているだけなんですけど、なので例えばその人がかけてた曲あるよ、CDだけどっていう風に言って買う人もいるんで、そこがHMVとかはバァーって並べてあって、一応オススメのヤツとかは3つぐらい店頭にピックアップしたりしてますけど、そことはやっぱちょっと根本が違うかなと、そこは自信を持っていきたいなと思ってるとこですね。断然向こうの方が安いんですけどね。CDだけを安く買いたくて探す人にとっては、すごい大変になるかもしれないですけど…そこはまあ残念と言えば残念。

□ じゃあ、MAILMANファンに向けて贈るセレクト?

M そうですね。もしかしたらそれがCDで出てたけど、今それの逆バージョンがあってアナログにしか入ってない曲とかあって、結構前とかはアナログのほうが少なくてCDにボーナストラックとか付いてたりするんですけど、そのボーナストラックが欲しいって言ってアナログにはまってくれたりするとすごく嬉しいですね。

□ 何かしらアナログを絶やさない動きをアーティストも試みている?

M CDだと普通のパッケージだけど、アナログになるとCDとぜんぜん違うジャケでパッケージが違かったり。
一番分かり易いのでいうとMayer HawthorneというStones Throwから出してるアーティストがいるんですけど、
アルバムの中からの1曲なんですけど、ハート型の7インチで、真っ赤なクリアバイナルで、そういうのとか欲しいと思ってくれたらいいかなって。
しかもMayer Hawthorneてスケボー好きで、PVもなぜかスケボーなんですよ(笑)。
ゆったりした曲なんですけど。まぁアナログにしかない特典もあればデジタルにしかない特典もあるってことですね。
CDだとショートバージョンだけど、アナログだとロングバージョンとか。Stones Throwは見た目も面白くて飽きさせないようにするのがうまいかな。

□ Stones Throwて昔からこういうレーベルなの?

M いや、ここ2年くらいで特にガラッと変わって、例えば7インチのOld Schoolの曲を再発させるけど両面違う曲で10枚、20曲入りで空き缶に入れて缶詰みたいな感じで売るということをやったりしてて、まぁ欲しくはなりますよね、そういうの。

□ コレクター心をくすぐるみたいな?

M そうですね、それをここ2年くらいで一番うまくやってるんじゃないかと思います。アナログ+アイデアで、だからちょっと高くなってもみんな集めたくなるような感じですね。実際、僕も欲しいの多いですし。

□ そういえば、最近カラーバイナルとかピクチャー盤もあんまみないよね?

M そうですね。アナログ自体する量が世界で300枚とか、多くて500枚。限定って謳ってメッセージとか来るんですけど1,000枚とかすってるのってStones Throwくらしかないと思いますね。あとは、これは絶対に売れるっていう確証とかない限り1,000枚とかすったりとかしないと思います。だから逆に300枚とかでピクチャー盤にする人は多いんじゃないかな。それを売り切って終わり。だから今は、一回新譜が入荷して、次入れられる保証があるっていうのはなかなかないです。

□ やっぱ、業界的には縮小してる?

M 縮小はしてると思います。

□ 新譜のリリース量とかはどうですか?

M うーん、昔からそうだったけどバラツキはかなりありますね。いいものが出る時はドバっと出るけど、出ないときは全然…今月なんかは少ないほうです。
まぁ、新譜が入ってこない時は新譜のお客さん来ないですからね、新譜の波はあります。やっぱアーティストが自信を持って出すのしか切られてないから12インチとかは昔より減ったと思います。最初からアルバムでいっちゃう人が多くて…HOUSEとかTECHNOに関しては最初にBeatportとかダウンロードで売って、結構売れたらアナログになるパターンが多いです。

□ 誰でも作れる時代になりましたよね、良くも悪くも。

M そうですね。

□ その分センスは問われますよね。

M そうですね。誰でもできる中で、周りより頭一つ抜けるのはすごく大変なことですよね。

□ こうやってお店やって、自分でもDJやってるじゃないですか。やっぱ、お客さんに音を聞いて欲しいですよね?

M う〜ん、本当聞いて欲しいですね。僕が盛岡出身だっていうこともあるんでしょうけど。
山形サンディニスタの人たちって酒も飲むけど、音楽も聞く。すごく聞いてます。

□ 盛岡の人たちもそうなんですよね?

M そうですね。バーカウンターの前に人がたまるのって本当一瞬。酒頼んだらフロアにいって遊ぶっていうのがイメージだったけど、残念なことに仙台だとバーカウンターの周りに人が、ガーっといてそこにあぶれた人がフロアにいるとか、通路にいたり。ちゃんと聴いてる人ってほんと一握り。そこが残念。

□ 音にのめりこんだきっかけは?

M 地元の盛岡にいた時に、今はJAZZY SPORT MORIOKAをやってるCHOKUさんが昔バイヤーやってたリミックスレコードってあったんですけど、高校3年生の終わりのほうって1ヶ月くらい学校に行かなくてよくなって、その時に毎日のように飽きずに行ってて、スクラッチのやり方教えてもらったり、曲教えてもらったりしてハマったのが一番のきっかけといえばきっかけ。

□ それはDJを始める前?

M DJを始める前だと、いま一緒にDJやってるセリタ(MINDFUSION)の家にターンテーブルがあって、聞いたことがないような曲がいっぱいあって、それでレコード面白いってなって、その時は聞くだけのターンテーブルしか持ってなくて、そこからお金をためてターンテーブルを買ってからが急にレコード買いだしてハマりました。

□ あら汁急成長?

M 急成長したのかどうかってところはあれですけど…(笑)。

□ じゃあCHOKUさんのとこに行ってた頃にはDJ始めてたの?

M いや、始める前も行ってて、5,6人で行って新譜を聞いてカッコいいなぁって買うぐらいで、DJ始めてからは一人で行ったりしてガンガン進められて買ったり。けど、今でもその時のやつのほうが聞いてたりDJで使ってたり、多いです。

□ 昔からHIP HOP聞いてたの?

M 始まりはHIP HOPオンリーとうか、1999年から2000年くらいに新しく出てたものを買ったり。仙台でもやってますけど、中古のレコード市が盛岡でも年に2回は必ずやってて、そこでHIP HOPのアーティスト名とか全然知らないやつを年代だけで探すとか、例えば95年リリースだったら買うとかみたいな感じで。で、そこからネタもののJAZZにはまって、その後、仙台に来てた頃はCROSSOVERとか。三浦さん(DJ Mu-R)とか、KOU-Gさん(Groovemanspot)がまだWILD STYLEで働いてたときにCROSSOVERとか聞くようになって、HOUSEとかも聞くようになって、その後、盛岡に帰って今DJしてるようなSOULとかDISCOとか興味が出て広く浅く(笑)。そこまで一つのジャンルでずっときてるわけじゃないですけど、全部好きだなみたいな感じで聞いてます。

□ 良ければ何でもあり?

M はい、よければ。ミックスするの難しいですけど(笑)。
それで今のミックスしないスタイルが確立してしまいました(笑)。

□ 思い出の楽曲は?

M 一番最初に聞いたのが高校の時なんですが、Roberta FlackのFeel Like Makin’ Loveって曲があって、もともとSOULの曲なんですけど、いろんな人がカバーしててそれをリミックスレコードで聞いて「なんだこの曲」て思って、この曲だけは今でも誰か歌ってたら必ず買ってます。思い出って感じじゃないですけど、それだけ印象的だった。

□ じゃあ、けっこうFeel Like Makin’ Loveのカバーとかリミックスとかたくさん持ってるの?

M うーん、たぶんFeel Like Makin’ Loveだけで40分くらいDJできますね(笑)。

□ これからも新しいの出たら買います?

M はい(笑)。

□ 一番好きな曲は?

M Feel Like Makin’ Love(笑)。

□ じゃあ、彼女と別れた時の思い出の曲は?

M 彼女と別れた思い出の曲ですか?え〜。

□ 付き合った時の思い出の曲でもいいよ(笑)。

M いや〜。う〜ん、Feel Like Makin’ Loveでいいです(笑)。

□ 最近のイチオシ楽曲って何?これが今一番ヤバイってやつ。

M 今だったら横浜の日本人なんですけどLUVRAW & BTB。あそこに7インチあるんですけど、トークボックス使ってライブをやる二人で、海外のDJとかも日本にしか売ってないから二枚買いして帰ったりとかしてるらしいんです。

□ あそこにあるやつ?

M あれじゃなくて前に出た7インチで、曲名は「On The Way Down」です。それが最近リプレスされて、2週間くらいで300枚なくなっちゃって。
今度、仙台ADDで11月のMIND FUSIONでゲストで来てライブしてくれるんですよ。
なんで、ライブ見るのも楽しみなんですよ。ライブもまだYou Tubeでしか見たことないんですけど、かなり良さそうです。

□ MAILMANの名前でイベントやることはないの?レギュラーとかで。

M レギュラーは今の所構想中です。二周年のイベントも二人で相談して面白い事が出来たらと思います。一周年は店でやって、ここでやるのもいいんですけど他の所でやったほうが気分的に楽ですよね(笑)。ここだと販売やりながらになるので、やっぱ人手が足りなくて…外でもつ煮とか唐揚げ売ったり、門馬さんは外にいて自分は中みたいな。けど、もう一人か二人、人手が欲しかったですね。

□ めっちゃ寒かったよね。

M あれは寒かったですね。そして一回どっか行くって、外に出ちゃった人は帰ってこなかったですね(笑)。

□ どっか行くって言ったら、こいつ帰る気だなみたいな?

M まぁ、それはそれでしょうがないですね(笑)。

□ 満員御礼だったよね。

M 意外と満員御礼でしたね。でも今年の周年は個人的に他でやってお酒飲みたい(笑)。しかもレジ打ってるとお酒飲んでなくても間違うから(笑)。できれば週末にやりたいですね。あとは自分と門馬さんの好きなDJがちょうどツアーやってたら一番いいですが、そういう情報は聞こえてこず…

□ ちなみに二人が好きで呼びたいDJって誰なんですか?

M 今の第一候補はRICH MEDINAですね。NYのDJなんですけど。色々かけるし、あとポエトリーしながらDJするんですよ。それでめちゃめちゃ背がでかくて、2メートル以上あるんですよね。12inchのバイナルがちっちゃく見えるくらい手もでかいんですよ。その人のDJならMAILMANっぽくていいなっていう…あとは……(笑)。

□ 結構狭いね(笑)。

M 狭いですね(笑)。MAILMANっぽいっていうとオールジャンルになるから、狭くなっちゃいますね。で、その人仙台でDJしたことないんで。盛岡では2回くらいあるんですけど。それで仙台でやりたいっていうのもありますね。

□ 最初の方にもチラッと出たんだけど「アナログ」の魅力を教えてください。

M アナログの魅力は、まずジャケットがあること。視覚から入って、誰かも言ってたようなことなんですけど、ジャケットからインスピレーションを感じて、さらに音楽のイメージもそれに合致した時は最高に気持ちいいですね。まぁ合わなくても気持ちよかったりもするんですけどね。CDもあるといえばあるんですけど、CDよりも絵もでかいですし。あとはやっぱりずっと聞けるっていうところですよね。

□ ちなみに家には何枚くらい持ってるんですか?

M 大体5,000枚くらいですね。火事になったら終わりですよ(笑)。

□ なんか勝手な想像ですが、DJの人ってイベントの度に自分のレコード何枚か無くしてしまったりしないんですか?

M まぁ無くす人もいますよね。人によりますね、それは。オレはどんなに泥酔してても自分が使ったのはちゃんと戻しますね。MINDFUSIONってみんな持っていってるレコード勝手に使うんですよ。みんな好きなのが似てるんで、オールジャンルで全員の合わせて一回に何百枚っていうレコードがADDのところにおいてあって、でバァーと適当に見て、人のもバンバン使うんですけど、ちゃんと元のところに戻すんで、俺はないですけど…。

□ 人の性格出るよね。そういうのね。

M でも普通の日常の生活でいったらオレが一番汚いんですけどね(笑)。レコードだけは「まとも」っていう。

□ でもそういう状況だと自分が意図しなくても人に使われてなくなるっていうのもあるんじゃない?

M あ、でも最後にちゃんとチェックするんで。酔っぱらっててもちゃんと見て入ってない時は使ったやつに探させます。まぁでもみんな基本的には自分のを使いますけどね。本当に行き詰まった時は隣のレコード…とかですね(笑)。「あ!今日○○持ってきてない…」みたいな時に目の前にあったりすると使いますね。

□ 「伝えたいアナログの魅力」ってありますか?DJとして。例えば店のお客さんとかに「分かってほしいな」とか「ここがいいんだよ」みたいなのってありますか?

M ん〜、あんまりそういうお客さんいないですかね。もうみんな分かっているとか、家のスペース的な問題でCDを買っているお客さんとかですからね。だから良さは知っていると思うんですよね。ここに来るっていう時点で。こんな離れているところに。駅からも離れてるし、だけど足を運んでくれるっていうことは、理解が0っていう事はないと思うんで。

□ じゃあ逆に進んでいくデジタル化については?

M あ〜、オレは普段CD使ってDJとかも普通にするんで、デジタル化については全然いいと思います。要はその、いいって思うっていうのもおかしな話ですけど、例えば、海外のゲストさんが昔はレコードでやってたけど、日本に来てレコードを盗まれたとか。そういう対策の為にパソコンを持ってきてやるっていうのもありますし。そういうのはしょうがないと思います。それで日本に「行きたくない」っていわれるよりは全然。あとはちゃんとアナログを出してくれたり、デジタルで売れたからCD出そうとか、そういうのをやってくれれば全然いいですね。配信だけで終わるっていうのはウチが取ってるところだとまだそんなに無いんで。メジャーレーベルなんかだと「経費削減」みたいなところで配信のみっていうのもあるみたいですけどね。でもやっぱりできることなら。CDからアナログの順番でも全然いいんで出してほしいですね。逆にこんな時代でもアナログからCDの順で出すアーティストもいますからね。あとはちょっと違うんですけど、パソコンからDJを始める人。とりあえず簡単にやめないでほしいですね。せっかく始めたんだったら。データが消えたからってパッとやめたりとか。そういうところがアナログのDJと違うところかもしれないですね。若い子は特に。せっかく少しでも興味を持ったんなら10年くらいはやってほしいですね。

□ じゃあ特に「デジタル」に対して敵対心みたいなものはないんだ?

M 敵対心とかはないですね。デジタルでしかできないDJプレイとかもあるじゃないですか?例えば何曲も重ねて…とか。ああいうのはアナログではできないことだから…ああいうことをやり続けるっていうのもいいと思います。お金を払ってCLUBで見る立場としては「見たいな!」ってなりますね。勿論、アナログで「こんなこともしてる」って人は更に見たいですし。でも普通に垂れ流しているだけだったら、アナログでやったら?みたいな感じにもなっちゃいますね。だからデジタルでしかできないことをやってくれる人はやっぱりすごいと思います。僕自身はデジタルでやるつもりは今のところ全然ないんで。まぁCDは使ってますけどね。CDは常に150枚くらいは持ち歩いてます。でもやっぱりアナログの音の方が好きですけどね。レア版で買えないようなやつを無理して買う程の財力は無いので。2,000円で買えるならCDでいいかな~とか。僕の立場としては「広める」方が先なんですよ、自分が満足するよりも。なんでreissueとかも全然入れますし。あれなんかも(お店にあるバイナルを指差して)当時100枚くらいしかリリースされなかった超レアなサイケファンクソウル?みたいな。なんですけど、そんなの買えないじゃないですか?10万とかするかもしれないようなやつ。それを2,000円で買えるなら、それでよくない?みたいな。

□ 買えないでかけないよりは買えるもので広める方が優先ってことですか?

M です。だから結構exclusiveなやつとか、例えばMONOの新曲とかもOK出れば使うし、盛岡のMADBRIDGEとかも使いたかったら使うし。まぁ色々混ぜていけたらいいかなっていう感じですね。

□ なるほどね。ちなみにA-RAG-R SOULの由来は?

M え?あら汁が作れるからですね(笑)。

□ SOULはどっからきたの?

M えっと、これは名前を付けてくれたのがJAZZY SPORT MORIOKAのCHOKUさんなんですけど、当時はまだDJネームをDJケイタロウでやってたんですよ。そうしたらですねDJ KENTAROさんが世界一になりまして、CLUBで話す時にどんなに大きい声で話しても「ん?ケンタロウ?」となりまして(笑)で、「あ〜これは駄目だな」と思って。そのやり取りを毎回繰り返していたんで(笑)。で、何かないですかね?ってCHOKUさんに話したら「ん〜、あら汁作れるから(あらじる)でいいんじゃない?あとお前最近SOUL買ってるからソウルって付けたらいいじゃん」って言われまして。最初はひらがなだったんですよ。でも名前自体はインパクトもあって好きだったんですけど、「ひらがな」が嫌で。今の「A-RAG-R-SOUL」になりました。そうしたら結構「なんて読むの?」と聞かれるようになりまして、「アラジルソウルだよ」っと説明すると結構みんな忘れないんですよね。当時は実はかなりCHOKUさんに反対したんですけど「お前、俺もさすがにこれ以上のは出てこないぞ」とか言われて。今ではいい名前を付けてもらったなって思ってます。

□ ちなみにDJ A-RAG-R SOULとしては今後は県外へ行ったりとか考えてますか?

M 自分のMIX聴いて呼んでくれる人がいるならどこにでも行きますよ!まぁDJ PLAYはMIXよりももっとアバウトですけどね。まぁ呼ばれたら、土曜日だったら確実に店閉めていきますね(笑)。

□ 平日だったら?

M 平日だったら20時に閉めていきますよ〜。2時間あれば東京辺りには行けますからね。

□ もっと遠いところだったら?

M そりゃもう1日閉めますよ!(笑)。でも観光したいし朝一で帰ってくるのも嫌だから、2日休みますね(笑)。せっかく知らない土地に行くんだからいろんな所に行ってみたいですしね。接待してほしいとかは全然なくて、自由行動が欲しいですね。

□ それはDJとしてそういうのも目標にしてるっていう事ですか?

M いや、目標という程のものでもないですけど、昔から、しゃべって自分を説明したりっていうのがあまり得意ではなかったので(笑)。今では名刺もありますけど、それがなかった時は自分のMIXを自己紹介代わりに渡したりしていたので、電話番号とメールアドレスを書いて。で、いいと思ってくれた人からはやっぱり返ってくるし、という感じですね。MAILMANの目標としては、もっと中古を回転させたいですね。

□ ずいぶん現実的な目標だね(笑)。

M いや!回転させるっていうのは、今現状オランダからしかものが入ってきてないんですよ。

□ オランダから入れてるんだ?

M はい。門馬さんがKIDSUBLIMEのところに遊びに行って向こうのレコ屋を色々回った時にちょっと面白いバイヤーを見つけて、まぁ信用できそうな感じの。もう結構取引してるんですけど、アメリカからがないんですよね。だからUK版しかなくて。DISCOものもUKだし、でもUSの方が評価が高かったりとか音がいいとか、そういうのもあって。UKも面白いのはいっぱいあるんですけどね。ジャケ違いの全然見たことがないやつとか。ただお店としてはUSからもいきたいですね。

□ 知り合いとかは?

M 知り合いとかは全然いないんですけど、まぁポッと行ける英語力があれば、ですね(笑)。でももしいいバイヤーがいたら全然取引したいですね。それが今の目標といえば目標ですね。


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