TOKIO / ISSUE11

Date : 2009.03
Common Magazine issue11

HUMANREPORT × TOKIO

TOKIO PROFILE

ISSUE11 DETAILS


■ 宜しくお願いします

青山 宗央(aoyama tokio)です以下T。宜しくお願いします。

■ いつから絵を描き始めたんですか?

T う〜ん…描き始めたのは幼稚園位の時ですかね。勿論描こうと思って描き始めた訳じゃないですけど、ただ素直に絵が好きで。

■ よく使っている画材は?それはいつから使い始めたんですか?

T 今は、アクリル絵具っていう画材を使ってキャンバスに描いてるんですが、それを使い始めたのは、18歳か19歳位からですかね。それまで普通の水彩絵具や、色鉛筆とかしか使った事なかったんです。油絵でも描こうと思ったんですけど、値段が高いし乾きもアクリルの方が早いし。ホント、金のない人にはアクリルをお勧めしますよ(笑)

■ 絵のどういう所に惹かれたんですか?

T 色んなアーティストに影響を受けた所もあるんですけど、一番の魅力は、まず自分の好きな様に描いて良い。決まりが無くて自由なんですよね。何描いても良いというか、自分の想像でその世界を創っていけるんですよね。

■ 尊敬してるアーティストっていうのは?

T いっぱいいますね…きりがないなぁ…

■ 描き始めて初期に衝撃を受けた人は?

T 小学校の時は、「北斗の拳」ですね。

■(笑)原哲夫先生ですね

T そう、あのタッチがたまらなく好きで、読まないで絵ばっか見てましたね。それで真似して良く描いてました。

■ TOKIOさんも漫画とか描いてたんですか(笑)

T そうですね。ストーリーは全然関係なくほとんど絵だけで。
北斗の拳は自分も格闘技とか好きだったんで、あのマッチョの感じが好きで筋肉ばっか描いてました。(一同爆笑)あとは、社会や歴史の教科書にマンガチックな「風刺画」とか出てくるじゃないですか、あのタッチも面白くてたまらなく好きでよく真似して描いてましたね。

■ 風刺画って言えば、イラストレーターとかになろうと思っ事はなかったんですか?

T 好きな事で食っていけるんだったら当初は何でも良かったんです、だからイラストレーターとかアーティストとか区切らず、造りものとかもチャレンジしたいし…。芸術家を目指してるんですよね。

■ 造形物も面白そうですね。

T あと、影響を受けたと言えば(笑)60〜70年代レコードのジャケットって絵をよく使ってたじゃないですか、Miles Davisの「BITCHES BREW」とか描いてるMati Klarweinにもヤラレタし、DaliやGogh、もちろんPicassoも好きですね。日本でいえば葛飾北斎。

■ 幅というより、世代が広いですね。今のこういう作風になるまでにどのくらいの時間が掛かりましたか?

T おそらく8年位は経ってると思いますね。でもまだ自分では「これが自分のスタイルだっ!」て言うのは分らないですね。

■ そうなんですね

T そうなんです。まだまだ高いレベルでできるって信じてるんですけど、まだまだそこには達してないです。逆に言えば、「コレだ!」っていうのは決めたくないですね。色々自分で変えてみたり、色んな要素を取り入れて新しいスタイルのものを創ったり。チャレンジしたい事があればどんどんやっていきいですね。

 

 

■ 絵を描く前はどういう事を意識してますか?

T え〜とですね…昔からアメリカによく居たんですけど、逆に日本を調べたりよく見るようになったんですね。その頃から仏教や神道とか、日本の独特な風習だったり文化に興味を持つようになって。それらを勉強してそれらを自分の絵に入れたいなと思って自分の中ではMIXしてる。やっぱり自分はアメリカ人じゃないんで、日本というものが絶対染み付いてる。そういうのを逆に表現した方が自然だと思ったんですよね。それと、昔からグラフィティーに憧れててそこから色んなテイストをもらったりもあれば、勿論誰かの絵からだったり好きな本だったり、または哲学だったりと色々なモノからヒントをもらう事もありますね。そうやって自分の知識の中で想像して膨らませて新しいモノを創る。そんな感じですね。

■ 海外へ行くきっかけってなんだったんですか?

T 小学校5年生の時にEDIっていうグループを知って「俺も行きたい!」って言って、初海外となるロサンゼルスに行ったんですけど、その時にアメリカの文化に強烈な衝撃を受けましてね。それがキッカケで、もうその時からずっと「いつか絶対アメリカ行くんだ!」って。でその後短大に行って、6ヶ月間留学できるっていうコースがあってオレゴン州のポートランドに行ったんです。そして卒業した後に、シアトルでグラフィックデザインを学ぼうと思って行きました。

■ なぜグラフィックデザインだったんですか?

T その時、絵だけじゃ食って行けないと思ったんですよ。広告だったり雑誌だったりを作るのにグラフィックデザイナーっていうのは必要だったんで。

■ いっぱいある仕事の中で、自分がやりたい事と感覚が一番近かった仕事がグラフィックデザインだったっていう事ですね。

T でも実際学校行ってみて、デジタルで作業というか絶対パソコンの中での作業じゃないですか。そこでパソコン使ってデザインする事が向かないって、アナログの良さというかやっぱり自分は絵を描くのが好きなんだって改めてその時に気付いたんですね。んで、学校辞めちゃったんですけど…(一同笑)。その後3年位シアトルに居て、今度は旅をしようと思って南米のコロンビアとジャマイカに5ヶ月間位行きました。そこで色んな人だったり文化と触れ合ったり刺激をもらったりして様々な考え方も変化して、描く内容も変わっていきましたね。

■ 描く内容?

T そう、もっと深いところで描きたいって。嘘くさくない絵って言うんですかね。自分が経験してないのにそれを描くっていうのが嫌になって、その中で経験した上で色々感じたモノを描く様になってきました。

■ その頃は何処で描いてたんですか?

T ボランティアでコロンビアの高校の壁に壁画を描いたり、あと小学校に行ってみんなで絵を描いたりとか。

■ すげー、ちなみにどういうキッカケでそこで描いてくれってなったんですか?

T シアトルで知り合った友達がコロンビア人で、その人の家に寝泊まりさせてもらってたんですけど、その人のコネクションでそういうチャンスが巡って来たんですね。自分がここに来たという証を残せるチャンスだし、ここの人達に自分の絵を感じてもらえるという事も自分にとって必要だなって。逆に全く違う文化でどう受け入られるのかも凄く興味があったし。

■ 作品達を見てると人物をモチーフにした絵が多いんですが、それ以外の絵を描いたりもするんですか。

T 人物は自然に多いですね。というのもそれぞれが持っている個性を面白おかしく描きたいなっていうのがあって。あとは動物とも描きますし、あとは風景もですね。風景もそのまま描くっていうのはないですね、やっぱりそこに自分で創造した世界を入れちゃいますね。そこで見た風景には、どうしてもかなわないんで(笑)。

■ その場にかなわない…なるほど…。アートワークとしてCDジャケットも手掛けてますが、そういう時はどういう風に描いていくんですか?

T その時は、ある程度向こうからコンセプトはもらってるんで、あとはスケッチをしながらその人の音楽性だったりセンス・スタイルを、実際音楽を聞きながら重ねつつ創造して描いたりしてますね。

■ そうじゃない時に描く絵も音を意識してますか?

T そうですね。絵の次に音楽が好きなんでしょうね(笑)。だから自然と音楽が入ってきちゃうんです。

■ もの凄いうねってたり、高いキーで奇麗な心地いい音だったりまでもが絵から聞こえてきそうですもん。ホントに。

T 逆に言えば…音楽がめちゃくちゃ好きだけど絵に興味が薄い人とかでも、すごく楽しめる様な絵っていうんですかね…うん、そういう絵を描きたいですね。

■ なんか好きだからっていう以上の想いを感じます。

T なんかね…少し反れるけど、大好きなアーティストのポスターが欲しいなと思ってもかなり昔って手に入らなかった時代だったんですよね、ポップ寄りな人のはあるんですけど…。探しても無いし、でも欲しいし…。じゃあ、自分で描いてみようってなって、その人の写真見ながらそのまま描いたりしましたもんね。あと自分は映画も好きで、俳優だったりその映画のポスターとかを見て真似して描いたりもしてましたね。日本にその当時無いやつとか。

■ マジっすか!?模写っすか!(笑)

T そういう事もありましたね。あと例えばパム・グリアが出てるCoffyとかそういうブラックなポスターも無かったですから。あとSuper Flyとか。今だったら何処でも手に入るんですけど高校ん時かな、そういうのが無くてそうやって真似して描いてましたね。

■ ホント好きっすね(笑)。アーティストのCDジャケットを手掛けるようになったキッカケはちなみに何だったんですか?

T それはホント嬉しい話で、Mellow Musicの方が「描いてみないか?」って自分にコンタクトをくれたんですね。凄く嬉しいチャンスだし、好きなジャンルだったし是非やってみたいと思いましたね。

■ 絵を描く環境は日本と海外では正直どちらが好きなんですか?

T 海外っていってもまだアメリカしか行ってないですけどね、う〜ん…そっちでの方が描きやすいっていうのはありますね。アートも盛んで、ましてや人種や文化も混在してるんで、自分にとっては刺激があって良い所だと思います。これからアメリカに限らず、もっともっと色んな国に行って全く違う文化に触れてみたいんですけどね。それでもっともっと広く吸収していきたいです。

■ 今まで絵を描いててスランプというか、行き詰まった時なんかはどうしてましたか?

T スランプっていうか…、想像したいんだけどホント何も思いつかない時はありますね。たまに今でもあるんですけど。そういう時は、全部逆転の発想っていうんですかね…

■ 逆転の発想?

T そう、う〜ん何を例にしようかな…。例えばですけど、自分がタバコを吸っているっていうのは普通の見方じゃないですか。逆にタバコ側からしたら自分に吸われてるっていう事ですよね。そういうのを常に意識する事によって結構アイディアが浮かびますね。自由なんですけど何でも自分の中で勝手に制限してる部分があるんですよ。車を描くってなった時に、絶対4輪っていう事と大体の車体のシェイプってあるじゃないですか、普通はそれを描いちゃうんですけど、それは物理的な事であって、崩しても良いんじゃないかって。ずっと日常で見てるモノって勝手に当たり前になっちゃって、そこから抜け出せなくなっちゃうんですよね。だから一度逆転の発想で考えてみるって凄く大事な事ですね。想像力が透いてもっと深いところまでいける方法だったりします。それでもダメな時はありますけど!(笑)それでも途中やっぱりつまらなくて止めちゃうのは勿論何回もありますけどね。

■ 納得いかなくて(笑)?

T それはもう仕方ないですよね、そん時はもう何する事無く一回忘れます。描こう描こうってなっても難しいんで。ただ描かないとしても、スケッチやメモにはしておくんですよね。

■ 記録しておくんですか?

T そう、いつか部分部分を使うかもしれないんで。その時必要じゃないとしても後で見た時に何か引っ掛かるかもしれませんしね。

■ 1つの作品を描き上げていく中で完成の見極めは?

T 描きながらちょっと引いた目で見て、バランスを見て足したり消たりしながらしっくりくるまでですね。結構その区切りがいつも難しいですけどね。そこで終わったとしても、また日数が経って見てみると、あれっ?(笑)て思ったりする時もあるんですけど、それはもう足さないっすね。それはその時で100%出て描いたモノだと思うんで。次にその反省を活かして描こうって思います。過去の作品を自分で見てもヘタクソだなって思うんですが、それはそれでその時に一生懸命描いたものなんで。絵っていうのは残るじゃないですか、成長の過程が見えて面白いです。多分今描いても、何年後かはきっとそうなってるんでしょうね。

■ そういう成長はいつまでも感じたいです。自分らもこういう仕事してるので解りますね。

T そして、新しいのに挑戦していきたいですね。自分が描いた事がないものだったり、今のこういうスタイルをちょっと変えてみたりをやりながらですね。例えば前の作品で良いのが出来て満足したってなると、それに似た様に描けば確実じゃないですか。そこをちょっと我慢して少しづつでも自分で描いた事のないモノを取り入れたりしていかないとダメだなって思ってますね。

■ 今後の面白い動きなどはありますか?

T 7月にDe La Soulの20周年でアートショー「20 YEARS HIGH AND RISING」がロンドンで行われるんですが、それに出展する事になってて、絵はもう描き終わっているんで後は持っていくだけなんですけど、それが楽しみですね。ヨーロッパから始まって、アメリカ大陸を北から南まで巡って、5月位に東京でもやりますんで。

■ おぉ〜。人と人との繋がりってほんと何が起こるか解らないっすね。

T 面白いっすね、繋がりって。JAZZYSPORTとの出逢いも、昔日本に帰ってくると盛岡のDAIの所によく行ってて、そこで逢った人にJAZZY SPORTの事を教えてもらったんですね。5年くらい前ですかね、それで何か一緒に出来たらいいな〜って勝手に思ってたんですね。凄いセンスの良い音楽で、惹かれちゃいましたね。そしたらmyspaceでCHOKUさんの方から連絡してくれたり(笑)

■ 絵と音楽がなければあり得なかった出逢いですね。TOKIOさんにとってズバリ絵とは何ですか?

T う〜ん…人には全て役割ってあると俺は思ってるんですけど、自分はこれ(芸術)をしなきゃいけないんだっていう感じで考えてますね(笑)。

■ 将来の夢は?

T いっぱいあります。日本で個展やってみたいですね。その時はCHOKUさんと絡んで日本全国回りたいな。

■ 個展はやったことないですか?

T ないですね、いつもグループでやってるもんで。日本限らずニューヨークとかでも個展はやってみたいです。未だにやってないっていうのはまだそこまで達してないからだと自分では思ってるんで、それまで技術や想像力をもっと付けてレベルを上げます。

■ 今って一人で描いてるんですか?

T APPI JAZZY SPORTでは相方のTAKAっていうやつと描きましたね。TAKAも一人で動いてるんですけど、過去にも何回か壁画とか一緒に描いてますね。一緒にアメリカへ行った仲間で、俺とほんと一緒の事を考えて絵を描いてます。

■ 彼も絵で生活しているんですか?

T そうです。俺と一緒でギリギリのところでやってますね。

■ 今一番幸せを感じる時はどんな時ですか?

T 色々あるんですけど、やっぱり完成した絵を眺めてる時ですね(笑)。


Tags: